めぐみ先生の保育コラム 保育士の為のお役立ち情報

園庭がない保育園で保育を行う時のポイント

駅の近くや住宅街などでは、園庭のない保育園や託児施設があります。特に首都圏には数多くの小規模保育施設があり、「子ども・子育て新制度」の施行に伴いそういった小さな保育施設の数は増えているようです。

私自身は、定員50名ほどの保育園で働いたことがありますが、住宅街の中に建っていたため園庭はありませんでした。小規模な保育施設は家庭的で子どもたちにも細やかなケアをすることができるという良さがある反面、思い切り体を動かして遊びたい子どもたちの欲求を持て余してしまう恐れがあります。

今回は、園庭がない保育園で保育を行う時のポイントについてお話します。

 

『お散歩』を日々の保育の中に積極的に取り入れる

 

園庭のある保育園では、1日に2回以上は外遊びの時間を設定し、子どもたちが思い切り体を動かして遊べるようにしていると思います。外気を肌で感じ、草や植物に触る経験は子どもたちにとって大切なことです。また、園庭で遊ぶ時間は、ごっこ遊びやルールのある遊びの広がりにも繋がっていきます。しかし、マンションの一室を利用して運営されているような小規模の保育施設では、自由に外遊びを行うことが難しいため、お散歩を活動の中に取り入れています。

 

子どもたちと一緒にお散歩に出る前に、保育者が十分に下見を行いましょう。子どもたちが無理なく歩ける場所に公園はあるか、トイレはあるか、日当たりは良いか、遊具の整備はされているか……etc

公園や広場は保育園の管理下ではないからこそ、十二分に安全確認を行う必要があります。

 

また、公園に行くだけでなく、踏切の近くまで行って電車を眺めたり、近所の商店街を歩いたり、桜並木や銀杏並木を歩いて季節を感じたりするお散歩もおすすめです。

なるべく交通量の少ない道を選ぶと同時に、信号や横断歩道では交通マナーを子どもたちに教えながら有意義で安全なお散歩を楽しみましょう。救急セットや水分補給のための飲み物とコップ、着替え、携帯電話など、準備物もしっかりと確認しましょう。

 

室内の遊びや環境設定の工夫

 

園庭のない保育施設では“梅雨の時期にちょっとだけ晴れ間を見て外遊びをする”とか“夕方のお迎えまでの時間、ちょっとだけ外で鬼ごっこをする”といった遊び方ができません。そのため、子どもたちは思い切り走り回りたい欲求を持て余し、落ち着きがなくなったり、トラブルが起こりやすくなったりします。

 

こういった事態を防ぐためにも保育者は、室内でも子どもたちが体を動かして遊ぶことができるように工夫をする必要があるのです。幼児クラスであれば、リトミックや体操の時間を少し多めに取り入れたり、部屋の仕切りを調節できる環境であれば、仕切りを取り払って空間を広めに使える時間を設定するなど、子どもたちがのびのびと遊べるような環境を考えていきましょう。そのためには、他のクラスの担任や主任、園長とも連携を取り、施設全体のスペースをより有効に使うための意見交換を行いたいところです。

 

また、乳児クラスであっても、少しだけベランダに出て外の空気を感じたり日向ぼっこをする時間を意識して作っていきましょう。遠くにお散歩に行けない場合は、抱っこして施設の周りをぐるっと歩くだけでも気分転換になります。担任同士でしっかりと連携を取り、一人ひとりの子どもたちが気持ち良く過ごせるような保育計画を立てましょう。

 

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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