めぐみ先生の保育コラム

服を着るのはいやだ!衣服へのこだわり、どう対応する?

 

私たちは場面に応じて色々な服を着ています。学校に行く時は制服、寝る時はパジャマ、会社に行く時はスーツ、といったように衣服は性別や肩書きを表現するものでもあります。

子どもたちの中には、衣服を着用することを嫌がる子がいます。触感に敏感な子は「これはなんかゴワゴワする!」と言って脱ぎ捨ててしまうことがあるのです。このような時、保育者はどのように対応すべきでしょうか。

 

服を着ない=自然であると考える

ある幼児教育の研究者は、このように考えました。

 

子どもはもともと本能に従って生きている。だから、椅子に長い間座っていることなんかできないのだ。靴を履くことだって不自然。水辺があったら何が何でも飛び込みたくなる。服を着ることは彼らにとって不快な営みなのだ。だから、「なんで服を着ないの?」と子どもを叱咤する大人のほうが自然の営みに反している。幼児教育に携わるものは、それを知った上で服を着ることを子どもたちに教えなさい。

 

非常に衝撃的な主張ですが、とても考えさせられるものがあります。服を着るということは、社会を生きる上でのマナーです。しかし、それは子どもにとっては心地よくない可能性があるのです。たしかに1歳くらいの子どもは、パンツも履かずに気持ちよさそうに遊んでいますよね。

「裸のほうが気持ち良いよね」という前提があることで、子どもたちへよりよい働き掛け方ができると思います。

 

保護者へのアドバイス

 

 

保護者から相談を受けた場合は、以下のようにアドバイスをしてみるのはいかがでしょうか。

 

(1) 触感に敏感な子どもたちの中には、なるべく肌にストレスのない衣服を選んであげましょう。

ビーズやレースなどの飾りがついているものは「かゆい」と感じる場合があります。また、大きなタグも同様にストレスになることがあるので、外側にタグがついている子ども服を選んだり、タグを綺麗に切って始末するなど配慮しましょう。また、汗をかいたり食事で汚れた服にも過敏に反応する場合は、多めに着替えを用意してあげましょう。

 

(2) 自分で衣服を選べる子であれば、一緒に買い物へ行き好きな衣服を選んでもらいましょう。

着心地に関わらず好きなキャラクターのシャツを選ぶかもしれませんが、それはそれで“自分の着たい服”を自分で選んだということです。衣服は体を保護する役割もありますが、「ファッションを楽しむ」という文化的な役割も担っています。服を選んで着る=楽しいこと、と思えたらいいですね。

 

成長に伴い敏感さは軽減する

服を着ることを嫌がったり着心地へのこだわりが強い場合、そのような傾向は成長と共に少しずつ軽減していくと考えられます。着心地よりも好きな色やキャラクター、友達とお揃いの服を身につけたくなり、生理的な感覚よりも社会的な感覚で衣服を選ぶようになってきます。

また、着ている服をみんなの前で褒めたり、着替えの際に自分で好きな服を選んでもらうことによって、服を着ることに対する興味を育てることができます。

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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