巡回相談とは、園生活の中で子どもの発達や行動に関して専門家のアドバイスを受けることができる「巡回相談支援」のことです。巡回支援専門員と呼ばれる専門家たちが保育園や幼稚園などを訪問し、子どもの様子を観察したり、保育者の相談に乗ったりし、見立てやアドバイスをしてくれます。
巡回支援専門員ってどんな人?
巡回支援専門員は、主に以下の専門家たちのことであり、自治体から任命されます。子どもの発達に関する専門知識をもったプロたちです。
- 医師
- 保育士
- 大学の研究者
- 児童指導員
- 言語聴覚士
- 作業療法士
- 臨床心理技術者
巡回相談の内容や流れは?

巡回相談の流れについて解説しましょう。
(1)情報共有
巡回支援専門員が園を訪れたら、事前の情報共有を行います。気になる子のふだんの様子や、その子が困っている姿、担当保育者の困り感などを細やかに伝えることで、より適切なアドバイスを受けることができます。
また、その日の活動内容についても事前に共有し、園内の環境も見てもらいます。
(2)子どもたちの観察
巡回支援専門員が実際に子どもたちの姿を観察します(保育観察)。自由あそびの時間、一斉活動の時間など、さまざまな場面で子どもの様子を捉えます。
観察の中では、子ども同士の関わりや好きな遊び、保育者の指示の理解、活動に集中できているか、身体の動きの様子などをチェックしています。
必要に応じて、巡回支援専門員が子どもとコミュニケーションをとる場合もあります。
(3)見立てとアドバイス
観察を経て、対象児への見立てや支援法の提案を行います。例えば、活動にいつも集中できない子に対して「まわりの音が気になって集中できない可能性がある。イヤーマフを活用するなど、音の影響を受けにくい工夫を試みてはどうか」といった具体的な提案がなされます。
また、保育者の関わりや言葉かけ等について、改善点があればここで助言を受けます。
支援策については全員の職員で共通認識をもてるよう、職員会議などで巡回相談の結果を報告します。
巡回相談で子どもへの理解を深める
巡回相談は、子どもの発達や保育環境、保育者の関わりなどを総合的に捉え、見直す貴重な機会といえます。また、自分自身の保育に対して客観的な見直しを行うきっかけにもなるはずです。
巡回相談を経て、園全体の保育が良くなったという話も。得た知見を保育の中で活かせるよう、「その後」も大切にしたいですね。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
