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人生のターニングポイントに関わる喜び~保育士面接の極意も!

人材コンサルタント 伊藤伸一氏 インタビュー

 

人材コンサルタントとして警察官や公務員をはじめ、業界業種を問わずに採用面接指導を行っている伊藤伸一さん。保育士面接の極意や園選びについてなどお話をお伺いしました。伊藤さんの面接指導(開催地・名古屋)には、北海道や九州からも多くの希望者が駆けつけるだけでなく、伊藤さんは大学での講師や講演依頼も多い方です。

 

●培ってきた経験で一人でも多くの人の力になりたい

 

―まず伊藤さんが人材コンサルタントになられたきっかけを教えてください。

 

私は25年ほど、日本マクドナルドにて営業管理職を経験後、人事本部で新卒採用や中途採用などを担当してきました。それらの経験を通し、非常にたくさんの人を見ているうちに、上手く行く人と上手くいかない人には“わずかな差”しかないことに気付きました。

自分を上手に表現できない方たちを何人も見てきたんですね。そこで、退職することになった際、どんな形であれ就職活動をしている人たちを支援したいと考えるようになりました。そこで、今後はこれまでの経験を、就職や転職活動を控える一人でも多く人のために活かしたいと決意したのがきっかけです。

 

―人材コンサルタントとはどのような仕事ですか。

 

一言で表すとすれば、「活躍する人のサポート」でしょうか。就職活動をしている人が、その会社で“活躍する”ための支援と、またその会社にとっても活躍してくれる人を採用することは利益の面でもメリットがありますので、双方にとってのサポーターのような、そんな形にしていけたらと考えています。

 

―さまざまな職種・企業の面接指導をされていますよね。

 

そうですね。常に、“私自身がその企業の採用担当者だったら”と仮定して考えています。まず私は、その企業が採用したい人物像を明確に捕らえます。よくある就職本に書かれているような一般的なことは、表面的なことが多く本質的な対策が少ないように思うのです。

 

職種はもちろんですが、例えば同じ職種でも大手企業なのかベンチャーなのか、その会社の歴史や歩みによっても、組織のあり方や求められる人物像は変わってきます。就職本は、そのような個々の環境には合わせてくれませんよね。

 

●貴重!伊藤氏が語る保育士に求められる人物像

 

―たとえば保育士でしたらどのように考えていくのでしょうか。

 

たとえば保育士さんでしたら、まず考えられることは「子どもにケガが絶対にあってはならない」ということではないかと思います。また、すべての子どもに対する公平性、子どもの目線で物事を見ること、そして何より母親の気持ちになることが求められると考えますね。

 

―実際の保育士向けの面接指導について教えてください。

 

保育士の方を対象にした面接指導では、さきほどのポイントを中心にカウンセリングしていきます。たとえば、子どもを事故やケガから守るということをみるために「公園の遊具で子どもを遊ばせるとき、どんなことに気をつけますか」と質問してみます。回答がちょっと足りないと思われるときは、「間違った使い方をしないためにはどうすればいいですか」、「それだとこのような危険性はないですか」とさらに質問しながら、本人に考えを整理していってもらう感じです。

 

●「考え」をまとめておけば、必ず答えられる

 

―伊藤さんに聞き方を変えて質問してもらうことで自分の考えが整理できそうですね。

 

はい。実はこれはとても重要なことで、面接で受け答えに詰ってしまうのは、“考えていない”からなのです。考えていれば、自ずと話が出来るはずですから。

 

ですので、保育士さんが求められるポイントを、みなさん自身で考えていただきながら、ご自身の意見や理想の保育士像を整理してもらうのです。

 

母親の気持ちになれるか、というのもこれは自分の目標とする保育士像にもつながっていくのです。「どんな保育士さんに我が子を預けたいか」という質問をさせていただきながら、ご自身の保育士として核になる部分を再認識してもらうのです。

 

面接指導は、そんなカウンセリングや面接指導を通して、その仕事に実際に就く前に一度立ち止まって自分の考え方をまとめる作業でもあります。

 

●緊張から抜け出すために

 

―面接などで緊張してしまって話せない、“あがり症”の人はいかがですか。

 

あがり症で上手に話せないという相談は、本当によく聞きます。人前や面接であがってしまうのは、“自信のなさ”が引き金になっています。逆を返せば、自信さえ持てれば緊張しなくなるのです。

 

―特に面接の自己PRはそうかも知れません。“自信”はどうしたらもてるのでしょうか。

 

考えをまとめておくことと、練習することではないでしょうか。私の面接指導では、模擬面接を通して、みなさんに自分の理想や仕事について、考える内容やその仕事の根本的な部分に気付いてもらうことを意識しています。

 

私の質問に対して、一つずつ考えを話してもらいますから、みなさんその日のうちにかなり面接に慣れて上達されます。これは、何度も繰り返ししているうちに自分の話に“自信”がもてたからなんですよね。ですので、あがり症の方でも心配は全く要りませんよ。

 

 

 

●日常の些細なことから変わることもできる

 

―面接で、明るくハキハキと話せないという悩みを持つ方も多いのですが、そのような方の場合はいかがでしょうか。

 

私のところに、就職活動を長い間行っているのに内定が一つも取れないという方がいらしたことがあります。「私は社交性もないし、ネガティブだし・・・」と非常に後ろ向きになってしまっていました。

 

そこで私は、宿題を出したんです。まず出した宿題は、“朝、起きたら家族みんなに「おはよう」と声をかけること”。意外な宿題だったようですが、これを毎日やってもらいました。その後、“今度は食事の後に「ごちそうさま」と伝えて食器を片付けること”、“大学の守衛さん、駅員さんに毎日挨拶すること”・・・と段階を踏んでいきました。

 

そうしてしばらく経つと、彼女がきちんと頑張ってくれたこともあり、彼女はみちがえるようにポジティブな声と笑顔を身につけました。その後、無事に内定も決まりました。

社交性というのは、本来誰もが持つ性質です。些細なことから慣れていけば、無理なく発揮できますから、そういったサポートもさせていただいています。

 

●人生のターニングポイントに立ち会う仕事

 

―印象に残っている面接指導はありますか。

 

そうですね、たくさんあるのですが・・・。7年間無職だった方が、アルバイトを始めて仕事をがんばるようになり、私のところに面接指導を受けにいらっしゃいました。その後、彼が希望する会社の正社員になれたことや、大学の新卒の方で「どうしてもこの会社に入りたい」という会社があるのに、友人や家族など周りにいる人から「絶対に無理だ」と言われて「なんとしても合格したい」と私のところに来た人が内定を見事決たこと・・・。その人の人生に直接関わりますので、どれも印象に残っています。

 

―人材コンサルタントとして心がけていることは何でしょう。

 

そうですね、どんな人であれ、私のところに来てくださった人というのは、すでに自分で大きな一歩を踏み出しているんですよね。やる気がなければ、私のところにわざわざやってきませんから。

 

でも次の二歩目がなかなか出ない、またはどう踏み出したらいいか分からないのであれば、私が背中を押して二歩目を出す手助けをしたいと思っています。

 

―素敵なお話ですね。仕事をする上で喜びを感じる瞬間はどんなときでしょうか。

 

純粋に喜びを感じるのは、内定や合格の連絡をもらったときです。いろいろな方の人生のターニングポイントに携わっているということに、大きなやりがいを感じています。

 

また、面接指導しながら「本当にこの仕事がしたいの?」というカウンセリングになり、最終的に業種を変えた人もいます。私のところに来てくださった方が、充実した仕事に就けるように、時にはそのように一緒に“やりたいこと”を考えることもあります。

 

大げさに聞こえるかも知れませんが、その方が人生を後から振り返ったときに「あのとき、伊藤さんに出会えてよかった」と思っていただくことが最大の目標でもあります。

●全国からやってくるカウンセリング希望者

 

―伊藤さんの面接指導は、内定獲得がゴールではないような気がしますね。その人のその後の人生にも影響を与えているというか・・・。伊藤さんにカウンセリングしてもらうために全国から若者がやってくるとお伺いしました。

 

そうですね、北海道から九州までの方が、わざわざ名古屋まで宿泊込みでいらしてくれたりします。先日驚いたのは、鳥取県から続けて3人いらしたこと。この3人は友人関係でもないというのですが、おそらく鳥取で内定合格者が出て口コミで広まったのだと思われます。大変嬉しいことです。

 

●自分に合った保育園・幼稚園を見つけるために

 

―数々の企業を見ている伊藤さんですが、逆に保育士さんが志望する園を見つけるためにはどうしたらよいでしょうか。

 

これは相性だと思うので難しいですね・・・。一つ言うとすれば、本当でしたら実際にその園に足を運んで、目で見て肌で感じて判断するのが一番だと思います。一人ぼっちになっている子どもがいないか、保育士さんはどのように働いているかなどを見ることです。ですが、地方の方が都心の園で働くとなると、なかなか園を見に行けないですよね。

 

そんなときは、可能な限り資料やwebサイトをいろいろな視点で見て探って欲しいと思います。これは実体験なのですが、私の親戚の子どもが通う幼稚園では、webサイトに行事の写真がアップされているのですが特定の子どもだけに偏らないように、子ども全員が必ずどこかの写真に写っているんです。こういった配慮から、その園の方針がのぞけたりすると思います。

 

●保育士として働かれるみなさまへ

 

―最後に、このサイトを見てくれている人に向けてメッセージをお願いします。

 

保育士さんって、とても大変なお仕事だと思います。これから保育士を目指される方や仕事をされる方に私が伝えたいことは、ぜひ子どもの“いいところを伸ばす先生”になって欲しいということです。

 

私自身の体験ですが、私は小さいころ先生に「絵が上手だね」と褒められて以来、絵を描くのが好きになりましたし、得意にもなりました。思い返すと絵を描くようになったきっかけは、その先生の一言だったのです。子どもにとって、先生との出会いは時としてその子どもの一生に影響することもあるものです。

 

また、これは講演会でもよくお話しするのですが、Jリーガーの選手やプロ野球の選手は4月生まれが多いんです。これには早生まれの子どもと比較して、幼少期に褒められやすい傾向にあるからだと言われています。

 

5歳になったばかりの子どもと6歳の子どもでは、身体的にも能力的にも大きな差がありますよね。子どものころの12ヶ月は成長に及ぼす影響が大きく、特に保育園・幼稚園に通う年代の子どもでしたら尚更です。

 

みなさんには、ぜひそういった視点も持った先生になって欲しい。3月生まれと4月まれでは体の大きさや身体能力がちがって当然ですから、たとえば3月生まれの子どもに対しても、それを把握した上でその子の良さを伸ばしていただきたいです。

 

先生にとっては何十人もの子どものうちの一人かも知れませんが、子どもにとっては世界で一人だけの先生です。そんな誇りを胸に、どうぞがんばってください!

 

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