2011年に発生した東日本大震災は、関東・東北地方に甚大な被害をもたらしました。地震が発生したのは、保育園では午睡から目覚める時間帯。地震発生後に想定外の大津波が押し寄せたこともあり、被災地の保育園では多くの子どもと職員が亡くなりました。
また、2016年4月に発生した熊本地震はまだ記憶に新しいと思います。
過去の震災の経験から、私たちは何を学び、今後の保育に活かすべきでしょうか。
どこで発生するかにより変わってくる対策
地震はいつ・どこで発生するか分かりません。保育室で工作をしている時、給食を食べている時、散歩で園外に出かけている時……様々なケースが想定されます。対策と合わせて整理してみました。
室内で活動中
●窓を開けて避難経路を確保
●子どもたちを落下物の少ない場所に集める机の下やマットの下に誘導
●トイレにいる子を連れてくる
●午前中は給食室で火を使用している可能性が高いため注意
屋外で活動中
●落下物の少ない一箇所に子どもたちを集め、大人が囲む
●地割れや倒壊した塀などには近づかない
●すべり台などの遊具に乗っている場合は抱っこして下ろす
●散歩中の場合、園にすぐ戻るのではなく、報告の電話を入れて余震が落ち着いてから帰る
地震が発生した時に保育士がやるべき5つのこと
⒈人数確認
目で確認するだけでなく、点呼をしましょう。行方不明の子どもがいる場合、すぐに他の保育士にも伝えて探します。
⒉周囲の安全確認
倒れてくるもの、落下しそうなもの、地割れはないか、ガラスの破片が散らばっていないかを確かめ、安全な場所に避難しましょう。地震の後に火災が発生する可能性もあります。
⒊保育者の連携
地震発生後、次の避難指示を待つことが大切です。しかし、指示を出す担当者も全体が見えていない場合があるため、現状を報告し合いましょう。園外・園内の保育者とも連絡を取り、保護者の緊急連絡先が書いてあるファイルや緊急避難袋等は一緒に持ち出しましょう。
⒋子どもの様子確認
怪我をしている場合、応急手当が必要です。出血、切り傷、打撲、心肺停止など、ケースに応じた処置の方法やAEDの使い方を日頃から意識しておくことが大切です。
⒌心のケア
突然の震災でパニックになってしまったり泣き出してしまう子がいます。お父さんやお母さんの心配をする子もいるでしょう。「大丈夫だよ」と声掛けをするだけでなく、手を握ったり抱きしめたりスキンシップをすることで安心させてあげましょう。
様々なケースに備え、訓練を
今回お伝えした以外にも、地震発生時の様々なケースが想定されます。プールに入っている場合は?遠足に出かけている時に大震災が来たら?など、臨機応変な判断と対応が迫られることもあるでしょう。
また、津波や火災が発生した場合には、園内の職員だけでなく近隣の地域の人々との協力も必要です。「もしも」に備え、地域と共同で避難訓練をしておくことも良いかもしれませんね。
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佐藤愛美(さとうめぐみ) 保育士として保育園、子育て支援センターでの勤務経験を経てフリーライターに。現在、子育て関係の記事を中心に執筆している。パパ、ママ、保育士さんに向けて必要な情報を発信していけるように頑張ります! |
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