保育士資格の取得を考えたとき、多くの方が気になるのが「難易度は高いのか?」という点ではないでしょうか。
合格率が20〜30%前後と聞くと、難しそうだと感じて不安になるかもしれませんが、試験の仕組みや出題傾向、合格基準を正しく理解すれば決して手の届かない資格ではありません。
また、一次試験さえ合格できれば二次試験の合格率は高めで、実際に独学で合格している人も多く、科目合格制度を活用すれば計画的にチャレンジできます。
本記事では、保育士資格の難易度や最新の合格率、試験内容、そして効率的な対策方法まで分かりやすく解説します。
保育士試験とは?資格の基本情報
保育士試験は、保育士資格を取得するために必要な国家試験であり、仕組みや特徴を理解しておくことが大切です。
まずは、保育士資格の基本情報として、資格の概要や受験資格、試験の流れを分かりやすく解説します。
保育士資格とは?
保育士資格とは、子どもの保育や保護者を支援する専門職として働くために必要な国家資格です。
児童福祉法に基づいて定められており、子どもの成長や発達を支える役割を担う専門性の高い資格です。
資格を取得することで保育所や児童福祉施設など、さまざまな現場で活躍できるでしょう。
また、保育士資格は一度取得すれば更新の必要がなく、全国で有効な資格として継続的に活用できます。
保育士試験の受験資格
保育士試験は、受験資格を満たしていれば年齢に関係なく挑戦できるので、社会人からでも目指しやすい点が特徴です。
受験資格は主に学歴が基準となっており、大学・短大を卒業している方や、一定の条件を満たす専門学校を修了している方は受験が可能です。
高校卒業の方は卒業時期によって受験資格の有無が異なり、以下に該当する場合は受験資格があります。
- 高等学校を平成3年3月31日以前に卒業した人
- 高等学校の保育科を平成8年3月31日以前に卒業した人
それ以降に高校を卒業した場合は、児童福祉施設で「2年以上かつ2,880時間以上」の実務経験を満たすことで受験資格を得られます。
受験資格について、詳しくは一般社団法人 全国保育士養成協議会の「受験資格詳細」をご確認ください。
保育士資格の取得方法には、保育士養成校を卒業する「養成校ルート」と国家試験に合格する「試験ルート」の2つがあり、養成校に通わなくても試験に合格することで取得が可能です。
特に社会人が転職を目指す場合は、試験ルートを選ぶ方が多い傾向です。
保育士試験の実施スケジュール
保育士試験は、前期と後期の年2回実施される国家試験で、毎年決まった時期に行われるため、あらかじめ全体の流れを把握しておくことが重要です。
試験は一次試験の筆記試験と、二次試験の実技試験に分かれており、筆記試験は一般的に4月と10月頃に実施され、その約2ヶ月後に実技試験が行われます。
筆記試験では保育に関する9科目の知識が問われ、すべての科目に合格すると実技試験へ進めます。
申し込み締め切りは筆記試験のおおよそ3ヶ月前に設定されているため、受験を考えている場合は早めに日程を確認し、計画的に準備を進めることが大切です。
出典:一般社団法人 全国保育士養成協議会「保育士試験を受ける方へ」
実技試験は筆記試験合格者のみ
保育士試験の実技試験は、筆記試験の全科目に合格した人のみ受験が可能です。
実技試験では「音楽」「造形」「言語」の3分野から2分野を選択し、保育現場で必要とされる表現力や対応力が確認されます。
具体的には、ピアノの伴奏に合わせて歌う、子ども向けの絵を描く、お話を分かりやすく伝えるなど、実際の保育に近い内容が出題されます。
実技試験は保育士に必要な実践力を確認する目的で行われるので、事前に内容を理解し、しっかりとした対策が大切です。
出典:一般社団法人 全国保育士養成協議会「実技試験(前期)概要」
保育士試験の合格率は?

保育士試験の難易度を示す指標の一つが合格率ですが、例年20〜30%程度で推移しています。
令和6年度の合格率は約26.3%となっており、数字だけを見ると難易度の高い試験だといえます。
ただし、保育士試験には科目合格制度が設けられており、一度合格した科目は3年間有効となります。
全科目を1度の試験で合格する必要はなく、計画的に受験を重ねて合格を目指せる仕組みです。
また、全体の合格率は20~30%ではありますが、一次試験さえ通過すれば二次試験は合格率が高いため、筆記対策をしっかり行うことが合格へのポイントです。
出典:こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和6年度)」
保育士資格の難易度が高いと言われる3つの理由
保育士資格は合格率だけを見ると難しそうに感じますが、試験内容や制度の特徴も難易度に影響しています。
あらかじめポイントを理解しておくことで、対策の進め方も変わってくるでしょう。
ここでは、保育士資格の難易度が高いと言われる理由を、3つに分けて解説します。
筆記試験の科目数が多い
保育士資格の難易度が高い理由の一つは、筆記試験で合計9科目が出題されることです。
1科目ごとの難易度が特別高いわけではありませんが、出題範囲が広く、覚える内容が多い点に注意が必要です。
特に未経験者にとっては、福祉制度や子どもの発達など初めて学ぶ分野も多く、学習量の多さから難しいと感じやすいでしょう。
まずは出題範囲の全体像を把握したうえで、無理のないスケジュールを立てながら計画的に学習を進めることがポイントです。
実技試験がある
保育士試験では、筆記試験に合格した後に実技試験が行われます。
前述のとおり、実技試験は「音楽」「造形」「言語」の3分野から2分野を選択して受験する方式です。
実技試験は試験官の前で実演する形式のため緊張しやすく、特にピアノに苦手意識を持つ人は不安になるかもしれません。
しかし、評価基準が設けられており、課題内容を理解したうえで事前に練習しておけば十分に対応できる試験です。
合格基準が明確でシビア
保育士試験は合格基準が明確に設定されているのも、難易度が高い理由の一つです。
筆記試験では9科目すべてで6割以上の得点が必要であり、1科目でも基準に達しない場合は合格できません。
特定の科目だけ高得点を取っても合格にはならず、9科目すべての内容をバランスよく理解しておくことが求められます。
保育士試験の出題内容は?

保育士試験では、保育に関する専門知識だけでなく、現場で求められる実践的な力も問われます。
ここでは、保育士試験の具体的な出題科目や試験内容を詳しく解説します。
筆記試験の出題科目と内容
保育士試験の筆記試験では、保育の専門知識を問う以下の9科目が出題されます。
- 保育原理
- 教育原理
- 社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
試験はマークシート方式で実施され、出題内容は子どもの発達や保育制度、福祉制度など幅広く、保育制度の改正や法律の変更といった最新の内容が問われることもあります。
そのため、テキストによる基礎学習に加えて、過去問題を解きながら出題傾向を把握するのが、合格へ近づくコツです。
出典:一般社団法人 全国保育士養成協議会「保育士試験とは」
実技試験の内容と選択方法
実技試験は筆記試験の全科目に合格した人が受験でき、3分野から2分野を選択します。
選択する分野によって準備内容が異なるため、事前に特徴を理解しておくことが大切です。
例えば、音楽では弾き歌いが中心となり、造形では課題に沿った作品制作、言語では子どもに分かりやすく物語を伝える力が求められます。
各分野は50点満点で採点され、選択した2分野のいずれも6割以上の得点が求められるため、どちらか一方だけ対策するのではなく、バランスよく準備しておくことが重要です。
課題内容を確認したうえで繰り返し練習し、安定して力を発揮できる状態にしておくことが合格への近道といえます。
一度合格した科目は3年間有効
保育士試験では、一度合格した筆記試験の科目は3年間有効となるため、合格済みの科目を再度受験する必要はありません。
例えば1年目に一部の科目、2年目に残りの科目と計画的に学習を進めることで、負担を分散しながら合格を目指せます。
このように、長期的な学習計画を立てやすい点は、保育士試験のメリットの一つです。
保育士資格に独学で合格するための対策方法

保育士資格は試験の仕組みや出題傾向を正しく理解し、ポイントを押さえて学習を進めることで、独学でも十分に合格を目指せます。
筆記試験は9科目と試験範囲が広いため、やみくもに勉強を進めるのではなく、優先順位をつけながら計画的に取り組むことが重要です。
ここでは、独学で保育士試験に合格するために押さえておきたい対策方法を、分かりやすく解説します。
試験日程を確認し、学習計画を立てる
保育士試験に独学で合格するためには、まず試験日程を確認し、計画的に学習を進めることが大切です。
試験は年2回実施されるため、試験日から逆算して無理のないスケジュールを立てましょう。
試験概要や過去問題は、全国保育士養成協議会の「過去の試験問題」で確認できるので、事前にチェックしてうまく活用しましょう。
科目免除制度を活用する
保育士試験では、一定の資格や条件を満たしている場合に、一部の試験科目が免除される制度があります。
科目免除制度を活用すると受験科目を減らせるので、学習の負担を抑えながら効率的に対策を進められます。
以下では、対象となる資格と科目を紹介します。
幼稚園教諭免許の保有者
幼稚園教諭免許を持っている場合、免除申請を行うことで「教育原理」「保育の心理学」の2科目と実技試験が免除されます。
免許の種類(1種・2種・専修)による違いはなく、条件を満たしていれば同様に免除の対象です。
また、指定保育士養成施設で筆記試験科目に対応する教科を履修している場合は、その履修内容に応じて該当科目が免除されます。
出典:一般社団法人 全国保育士養成協議会「免除制度について」
社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格保有者
社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士のいずれかの資格を持っている場合は「社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」の3科目が免除されます。
さらに、指定保育士養成施設で筆記試験科目や実技試験に対応する教科を履修している場合は、その履修内容に応じて該当する科目も免除の対象です。
出典:一般社団法人 全国保育士養成協議会「免除制度について」
過去問を徹底的に活用する
保育士試験対策では、過去問を活用した学習が効果的であり、出題形式や傾向を把握するうえでも効率のよい方法です。
前述のとおり、全国保育士養成協議会の公式サイトでは過去問題と解答が公開されており、誰でも内容を確認できます。
実際の問題に触れることで出題パターンを理解しやすくなり、本番の試験にも落ち着いて対応できるでしょう。
また、過去問題を繰り返し解くことで、自分が理解できている分野と苦手な分野を整理できます。
知識の定着度を確認しながら学習を進められ、限られた時間でも優先順位をつけて対策しやすくなるでしょう。
自分に合った通信講座やテキストを選ぶ
保育士試験に独学で合格するためには、自分に合った教材を選ぶこともポイントです。
市販のテキストや問題集を活用すれば費用を抑えながら学習できますが、通信講座を利用すると添削や質問対応などのサポートを受けられるのがメリットです。
それぞれに特徴があるため、自分の理解度や学習ペースに合った方法で保育士試験の合格を目指しましょう。
まとめ
保育士資格は合格率だけを見ると難易度が高いと思うかもしれませんが、試験制度や対策方法を理解すれば、合格を目指せる国家資格です。
筆記試験は9科目あり学習範囲が広いものの、科目合格制度を活用して複数回に分けて受験も可能です。
実技試験も事前に対策をすれば、十分に対応できるでしょう。
大切なのは難易度だけで判断するのではなく、試験の仕組みを理解して戦略的に学習を進めることです。
保育士資格は取得すれば長く活かせる国家資格であり、キャリアの選択肢も広がります。
保育の仕事に興味がある方は、ぜひ一歩踏み出して資格取得に挑戦してみてください。
Q&A
Q1.保育士資格の合格率は?
A.保育士資格の合格率は、例年20〜30%前後で推移しています。
筆記試験は9科目と出題範囲が広く、一定の学習時間が求められます。
Q2.保育士資格の一発合格は難しい?
A.保育士資格の一発合格は、難しいでしょう。
筆記試験は9科目あり、すべてで6割以上の得点が必要となるため、初回受験で全科目に合格するのは容易ではありません。
多くの受験者は科目合格制度を活用し、複数回に分けて合格を目指しています。
Q3.ピアノが弾けなくても保育士資格は取れる?
A.ピアノが弾けなくても、保育士資格の取得は可能です。
実技試験は「音楽」「造形」「言語」の3分野から2つを選択する形式のため、ピアノを選ばなくても受験できます。
ただし、保育園によっては入職後にピアノ伴奏を求められる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。