めぐみ先生の保育コラム

【食事の言葉掛け】「一口食べてみる?」を考える

食事の時間に「一口食べてみる?」と声をかける場面は多いものです。

子どもの経験を広げたい、少しでも味わってほしい。

そんな思いから出る言葉ですが、その一言が子どもにどのように届いているか、立ち止まって考えてみることも大切です。

今回は、食事の場面での関わり方を見つめ直します。

 

その一言は、どんなふうに届いている?

「一口だけ食べてみようか」

やさしいつもりでかけた言葉でも、子どもによって受け取り方はさまざまです。

 

ある子にとっては、「やってみようかな」と背中を押されるきっかけになるかもしれません。一方で、別の子にとっては、「食べないといけないのかな」とプレッシャーに感じることもあります。

 

特に、新しい環境に慣れようとしている時期や、食べることに不安がある子にとっては、その一言が重く響くこともあります。

 

大切なのは、「この子は今、どんな気持ちでここに座っているだろう」と想像すること。目の前の姿に合わせて言葉を選ぶことで、関わりの質は大きく変わっていきます。

 

「食べさせる」から少し離れてみる

ある認定こども園の施設長の経験談です。

 

以前は、「一口でも食べてほしい」という思いが強かったという施設長。しかし、子どもによっては、それが負担になっていることに気づいたそうです。

そこで、あえてすぐに声をかけず、子どもの様子を見守ることを意識するようにしたといいます。

すると、周りの子が食べている様子を見て、自分からスプーンを伸ばす姿が見られるようになったり、「これ、どんな味?」と興味を持つ場面も増えてきたそうです。

「食べさせる」ことを目標にするのではなく、「食べたくなるきっかけをつくる」ことに目を向けたことで、子どもの姿が少しずつ変化しました。

 

関わり方の引き出しを増やしていく

もちろん、「一口食べてみる?」という声かけが必ずしもよくないわけではありません。タイミングや関係性によっては、前向きな一歩になることもあるでしょう。

 

大切なのは、その言葉だけに頼らないことです。

例えば、「おいしそうだね」「いいにおいがするね」と共感を伝える。

調理の工程を話題にする。

少しだけ触れてみることを提案する。

関わり方には、さまざまな選択肢があります。

 

食事の時間は、栄養をとる場であると同時に、安心して過ごす時間でもあります。その中で、子どもが自分のペースで食べることに向き合えるよう、関わりを選んでいきたいものですね。

 

めぐみ先生

元保育士。ライター歴10年。
子育てをしながら保育の記事を書いています。
保育現場で働く方や、保育者を目指している方に役立つコラムをお届けします。

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