保育士試験

2006年度保育士国家試験 養護原理

 

平成18年度 養護原理

 

問1 次の文に関し、ノーマライゼーションの考え方にそった動向として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 日本では、ノーマライゼーションの理念が具現化された国際障害者年以降、知的な障害がある子どもたちの生活や発達を保障するための居住型の障害児施設が増えている。

B 一般の家庭のように、地域の中で少人数の子どもと援助者が暮らすグループホームという養護の形態が、子どもの社会的養護においても国の制度として位置づけられた。

C 従来は訓練や指導が援助の中心になっていた知的障害児の施設でも、生活の質を大切にする援助に変わった。

D 障害がある子どもたちも、障害がない子どもたちと同じように生活ができるようにするための身辺自立のための訓練が、より一層重視されるようになった。

  A B C D
1 × × × ○
2 ○ ○ × ×
3 × × ○ ×
4 × ○ ○ ×
5 ○ × × ○

 

問2 次の文は、児童養護施設における養護の実践についての説明である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 地域のサークルなどに参加を希望する子どもたちに対して、集団生活を行っている施設としては、まず施設内のサークルや習い事などの教室に参加するようにさせることを優先させなければならない。

B 服装や髪型などの流行に敏感で華美となりがちな子どもであっても、基本的にはその子どもの好み、表現を大切にしなければならない。

C 子どもたちの食事の場面では、育った家庭環境などから好き嫌いをする子どもも少なくないので、好き嫌いを無くす躾も必要ではあるが、まずは、なごやかな雰囲気づくりをすることが大切である。

D 子どもたちの多くは、料理やお菓子づくりに興味をもっているので、バレンタインデーやクリスマスなどのプレゼントとしてクッキーを焼いたり、バーベキューなどをする機会を設定することが望ましい。

E 集団生活では、私物の管理についてのトラブルが起こりやすいので、個人の持ち物はできるだけ少なくして、共用できる物を増やさなければならない。

  A B C D E
1 ○ × × ○ ○
2 × ○ ○ ○ ×
3 × ○ ○ × ○
4 ○ ○ × × ×
5 × × ○ ○ ○

 

問3 次のA~Eの群は児童福祉施設を組み合わせようとしたものである。現在の「児童福祉法」で規定されている児童福祉施設のみの群を○、児童福祉施設以外の施設が含まれている群を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。   

A 盲児施設・重症心身障害児施設・児童養護施設・児童自立支援施設・児童遊園   

B 乳児院・ろうあ児施設・情緒障害児短期治療施設・保育所・虚弱児施設   

C 知的障害児通園施設・児童館・養護学校・乳児院・児童養護施設   

D 知的障害児施設・少年院・情緒障害児短期治療施設・乳児院・母子生活支援施設   

E 肢体不自由児施設・児童養護施設・助産施設・知的障害児通園施設・保育所

  A B C D E
1 ○ × × ○ ×
2 × ○ × ○ ○
3 ○ ○ ○ × ×
4 × × ○ × ○
5 ○ × × × ○

 

問4 次の文は、「児童の権利に関する条約」の一部である。( A )~( E )に当てはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。  

児童の( A )又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び( B )並びに適正な監督に関し権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。一時的若しくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける(C )を有する。児童の身体又は精神の養護、保護又は治療を目的として権限のある当局によって収容された児童に対する( D )及びその収容に関連する他のすべての状況に関する定期的な審査が行われることについての児童の(E )を認める。

  A    B     C   D   E
1 養護 種類   機会 診断 主張
2 指導 職種   権利 診断 権利
3 養護 適格性 権利 処遇 権利
4 養護 職種   機会 処遇 権利
5 指導 適格性 機会 処遇 主張

 

問5 次の文は、「児童虐待の防止等に関する法律」の一部である。( A )~( E )に当てはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。  

この法律は、児童虐待が児童の( A )を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する(B )、児童虐待の( C )その他の児童虐待の防止に関する( D )の責務、児童虐待を受けた( E )の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進することを目的とする。

   A     B        C                D              E
1 人権 虐待の禁止 防止及び禁止    保護者及び児童相談所 児童の保護及び安全
2 安全 児童の保護 安全及び早期発見 国及び地方公共団体  児童の治療及び自立
3 人権 虐待の禁止 防止及び保護    国及び地方公共団体  児童の保護及び自立
4 尊厳 児童の安全 保護及び禁止    国及び保護者       児童の治療及び自立
5 人権 虐待の禁止 予防及び早期発見 国及び地方公共団体  児童の保護及び自立

 

問6 次の文は、児童養護施設で生活する児童の援助に関する記述である。援助の姿勢として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 児童の日課は、適切な睡眠、食事、学校など規則正しい生活リズムを作ることが大切であるので、児童の意見を聞きながら専門性を備えた職員が作るべきである。

B 将来、児童が社会で自立することを考慮し、社会のルールを守るための学習として、施設内の規則を守るように厳しく指導することを、何よりも優先して行なわなければならない。

C 児童は社会経験が乏しく、人生の重要な場面において自分で選択することができないことが少なくないので、さまざまな知識や資料などを提示したり、経験させたりして、なるべく自分で選択できるようにすべきである。

D 施設の保育士は、たくさんの事例を経験し、過去の成功例から児童を類型化し、タイプ別に指導すべきである。

E 児童にとって、自分がなぜ施設で暮らさなければならないのかという理由などは、本人に辛く耐え難いことも少なくないので、どんな場合でも知らせないで前向きに生活できるように援助すべきである。

  A B C D E
1 ○ × ○ × ×
2 ○ ○ × ○ ○
3 × ○ ○ × ×
4 × ○ × ○ ○
5 ○ × ○ × ○

 

問7 次の文は、居住型の知的障害児施設の職員会議で、入所中の知的障害がある子どもの援助について話し合われた内容の記述である。施設の姿勢として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 行事やレクリエーションをプログラムに取り入れることは、基本的な日課を崩すことになるので望ましくない。

B 食事の場面では、食事を楽しむことよりも、食事をとるためのスキルを身に付けるようにすることのほうが重要である。

C 学齢児であっても、重度の知的障害がある子どもについては、学校に通学しないで施設で訓練や指導を受けさせるべきである。

D 自宅への一時帰宅については、施設の訓練や指導の関係上、正月やお盆など施設が設定した帰宅期間のみに帰宅させることが望ましい。

E 学校を卒業した自閉症児たちの作業活動は、日ごと多様なことを経験させるよりも、決まっていることを継続的にすすめることが望ましい。

  A B C D E
1 ○ ○ ○ × ×
2 × ○ × × ○
3 × × ○ ○ ×
4 × × ○ × ○
5 × × × × ○

 

問8 次の【事例】を読んで【設問】に答えなさい。  

【事例】X子が2歳の時に両親が離婚し、母親が親権者となった。その後母親が病気入院したため、児童養護施設に入園となり現在4歳となった。母親は病気も回復したので、本児X子を引き取りたいとX子の担当保育士Yに相談に来た。しかし、母親には定職もなく、母親の家族の支援も期待できず、経済的な問題やX子の保育所への入所の問題、さらに住居の問題があった。  

【設問】この母親の相談で担当保育士Yが取り組むべき対応として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 担当保育士Yは、母親の家庭引き取りの気持ちを尊重しながらも、X子の母親は定職もなく、さらに、X子の保育所への入所の問題があるとその時判断し、現時点では無理があることをその場で告げる。

B 担当保育士Yは家庭支援専門相談員と連携して、家庭復帰に対する課題を母親と相談し、また指導する。同時に、X子の担当児童福祉司に報告し、家庭復帰に向けて取り組む。

C 担当保育士Yは家庭支援専門相談員と連携して児童の自立支援計画を立て、しばらく面会、外泊を繰り返して親子の様子を見る。

D 母親の生活環境安定のため、地域の社会資源の調整や、地域で母子の自立を相談・支援してくれる母子自立支援員と連携する。

  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 × ○ ○ ○
3 ○ ○ × ○
4 × ○ × ○
5 ○ × ○ ○

 

問9 次の【事例】を読んで【設問】に答えなさい。  

【事例】小学校6年生のV君は、最近、父親の転勤で海外から帰国し、W市の小学校に転校してきた。V君は帰国する前まで、家庭では日本語を使っていたが、学校生活や友達との間では英語を話していたので、日本語より英語を使うことになじみがあり、転校後もしばしば、担当の教員や友達との会話にとまどうことがあった。そのため、友達と思うように話せず、「学校が面白くない」「友達ができない」などと母親に訴えることがあった。両親は転校して間もないこと、不慣れな土地であること、また子どもが遊びを通じて仲良くなると思い、V君の言動に対して気にとめることがなかった。しかし、転校して2か月経ったある日、とうとう「学校に行かない」と言い、部屋に閉じこもってしまった。  

【設問】V君の両親が学校以外で相談に行く場所として、専門性が高く、より適切な援助を受けられると考えられる機関を○、適切な援助を受けることは難しいと考えられる機関を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。   

A 保育所の地域子育て支援センター   B 母子健康センター  C 児童家庭支援センター  
D ファミリーサポートセンター  E 児童相談所

  A B C D E
1 × ○ × ○ ○
2 ○ ○ × × ×
3 × × ○ × ○
4 × ○ ○ × ○
5 ○ × × ○ ○

 

問10 次の【事例】を読んで【設問】に答えなさい。  

【事例】児童養護施設P園では、年末年始、帰省できる子どもは自宅に帰ることになっていた。Q男(8歳)も年末年始の帰省を楽しみにしていた。ところが約束の日になってもQ男の母親は迎えにこなかった。心配になった施設職員R保育士は、Q男の両親に連絡を取ったが、「もう少しで迎えに行きますから。」と返答であったため、そのまま様子をみることにした。しかし結局、母親はその日迎えに来なかった。仕方なく、Q男は帰省できなかった他の子どもたちとP園で過ごすことになった。夜になり、Q男が突然、泣き出し、保育士に「抱っこ」をせがんできた。担当のR保育士は帰省できなかったQ男の気持ちを察して優しく受けとめた。ところがその後、Q男は「赤ちゃんがえり」をしたようにR保育士の後を追うようになり、R保育士がいないと大声で泣き出してしまうことが多くなった。他の子どもたちは、そんなQ男をあまり好ましく思ってない様子で、Q男は孤立してしまった。  

【設問】このときのR保育士以外の保育士のとる対応として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A Q男の行動は、帰省できなかった寂しさから出ているものなので、他の子どもたちにはあまえることを我慢させるよう強く指導する。

B Q男に対するR保育士の対応は、園の秩序を乱したので、R保育士のとった行動を改めるように注意する。

C Q男が家庭に帰省できるよう、Q男の両親に再度はたらきかけることをR保育士と協力してすすめる。

D 「迎えに来なかった家族のことは忘れて他の子どもたちと普段どおりの生活をさせるように」と、Q男を指導することをR保育士に助言する。

E R保育士の対応は適切であったと伝え、R保育士を支援する。

  A B C D E
1 × × × ○ ○
2 ○ ○ ○ × ×
3 ○ × ○ × ○
4 × × ○ × ○
5 ○ × × ○ ○

 

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