トマトやピーマン、ナスなど、夏の畑は実りの季節。
育てた野菜を収穫する喜びは、食育の原点ともいえる体験です。ただ収穫して食べるだけでなく、そこに“育てた思い”や“命への気づき”が重なることで、経験がもっと豊かになるかもしれませんね。
この記事では、夏野菜の栽培や収穫を通して、子どもたちの学びにつなげるアイデアをご紹介します。
「なんで?」から始まる食育活動
給食で見慣れているはずの野菜でも、自分の手で育てたものには、ちょっと特別な気持ちが芽生えるもの。
とくに、毎日水をあげて、変化を観察してきた子どもにとって、ひと粒のミニトマトは“成果”であり“命”でもあります。
その実を食べる前に、子どもたちと「なんで人は野菜を食べるんだろう?」「いただきますって、どういう意味かな?」と考えてみる時間を設けると、体験が深まりそうですね。
育てるプロセスを、主体的な学びに
苗を植える、支柱を立てる、水をやる。
これらの作業を「やらせる」のではなく、「どうする?」「どこに植えようか?」と、子どもと一緒に考えることで、野菜づくりは主体的な学びに変わります。最初に図鑑を使って調べてみる方法もあります。
野菜を育てる中で、葉っぱの色や実の大きさの違いに気づいたり、虫との出会いに驚いたり。日々の気づきを絵や言葉で記録してみるのも、保育の中での豊かな活動になります。
育てる中で、枯れてしまったり、うまく実らなかったりすることもあります。しかしそれもまた、大切な学びです。失敗も含めて、子どもたちの気づきを見守っていきましょう。
育てて終わりじゃない。収穫後の関わりも保育に
収穫した野菜は、食べ方にも工夫を。
苦手な子も多いピーマンやナスは、園で簡単なクッキング保育を取り入れると、自分で関わったことが自信につながり、口に運べるようになる場合があります。
また、収穫後の野菜を使いスタンプ遊びをしたり、種を乾かして来年の栽培に使ったりするのもおすすめです。
保護者向けのおたよりでは活動中の子どもたちの反応を伝えることで、家庭とのつながりが生まれるでしょう。
単なる“食育活動”ではない野菜づくり
野菜づくりは命と向き合う経験であり、自分の力で育てる達成感を味わうことができる時間です。子どもたちが「なんとなく食べていたもの」に目を向け、意味を感じ、行動するきっかけになることが期待できます。
実った野菜のひとつひとつが、子どもたちの心に深く残るような、そんな食育の時間になるように計画を立ててみませんか。
(公開日:2017年07月13日)
(更新日:2025年06月26日)
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |