保育士試験

2004年度保育士国家試験 社会福祉

平成16年度 社会福祉

 

問1 社会福祉の主体に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 社会福祉の政策主体として国は、最低限度の生活の保障に公的な責任をもつ。

B わが国では、今日政策提言する市民組織の隆盛や、社会福祉計画策定段階での住民参画が推進されるなど、政策主体の考え方に大きな変化がみられる。

C わが国では、社会福祉の地方分権化がすすみ、地方公共団体は従来以上に福祉政策の主体としての役割を担っている。

D 社会福祉の実践主体は当事者や特定非営利活動法人であって、行政あるいは専門職は実践主体とは言いがたい。

E 社会福祉の運動主体として地域住民は、未充足の福祉ニーズの対策を求めて制度化に向けた運動を展開する。

   A B C D E
 1 ○ ○ × × ○
 2 ○ ○ ○ × ○
 3 ○ × ○ ○ ×
 4 × ○ ○ × ○
 5 ○ × × ○ ○

 

問2 わが国の江戸時代以降の社会福祉史に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 江戸時代には、農村を中心とする伝統的な共同体では、さまざまな種類の相互扶助体制が整備され、一定の成果をあげた。そのなかでも特に、「ゆい」などの共同労働組織や、「講」などの互助組織が発展し、生産と生活の全般にわたって相互に助け合った。

B 明治時代には、明治7年(1874年)に公布した「恤救規則」という救貧対策があったが国家の義務という考え方は乏しく、民間の社会事業家に頼らざるを得ない状況だった。その社会事業家の中でも、石井十次の岡山孤児院は、現代の児童養護施設の先駆として名高い。

C 大正時代には、内務省の中に失業救済、児童保護その他の社会事業を行う部局ができ、法令上も社会事業という言葉が明記されるようになった。

D 昭和4年(1929年)に制定された「救護法」によって、無差別平等の救護が実現し、相互扶助に頼らない社会保障が確立した。

E 昭和25年(1950年)に現行の「生活保護法」が施行され、保護請求権も確立した。

   A B C D E
 1 × ○ × ○ ○
 2 ○ ○ ○ × ○
 3 ○ ○ ○ × ×
 4 × ○ ○ ○ ○
 5 ○ × × ○ ○

 

問3 所得保障に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 今日の福祉政策は、貨幣的なニーズよりも非貨幣的なニーズが拡大しているため、児童手当、各種年金、生活保護などの所得保障を充実させる方向にある。

B 国民が無拠出で与えられる所得保障は、児童手当と生活保護である。

C 公的年金制度では、医療保険と同様、職域保険と地域保険の両方に加入するということはない。

D 児童手当は、児童を養育している家庭の経済的な負担を軽減することによって、少子化対策としての意義を有し、また、生活困難に陥ることを予防する機能も果たしている。

   A B C D
 1 ○ × × ○
 2 × ○ ○ ×
 3 ○ × ○ ×
 4 × ○ × ○
 5 ○ × ○ ○

 

問4 社会福祉の理念のひとつであるQOL(生活の質)の向上に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 心理学者マズロー(Maslow,A.H.)の理論「欲求五段階説」は、人間はより質の高い欲求を求め、自己成長を図ろうとする存在であることを示している。社会福祉は、そのような人間観に立脚して人のパーソナリティの発達を支援するものである。

B 人間はそれぞれ自分のライフスタイルをもち、自分らしい生活の質を確保しようとするものである。社会福祉は、利用者にサービスを押し付けることなく、自由なサービスの選択を可能にしなければならない。

C 生活の質は、個人的なものであるばかりでなく、自然環境の質や社会環境の質によってかなり影響をうけるものである。社会福祉は、人と環境の相互作用に着目し、その関係を調整するものでなければならない。

D 人はより良く暮らすことを求める存在であり、それを保障する社会福祉行政は、人間の際限のない幸福の探求に見合った量と質のサービスを作り出さなければならない。

   A B C D
 1 ○ ○ × ○
 2 ○ ○ ○ ×
 3 ○ ○ ○ ○
 4 × ○ ○ ○
 5 ○ × × ○

 

問5 地域福祉に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 地域の住民の結びつきが希薄になったことにより、社会の中で孤立の問題が拡大しており、福祉コミュニティの創造は地域福祉の中心的な課題である。

B 地域福祉の推進に当たっては、住民の主体形成によりコミニティワーカーが主体的な役割を果たすことが期待されており、その力量が地域課題の解決を左右する。

C ボランテイア活動は、社会福祉の範囲外と考えられており、地域福祉の計画にボランティア活動の開発と組織化は含まれていない。

D 施設福祉は、地域の在宅福祉サービスの中に位置づけられており、地域福祉において、専門的なケアサービスの担い手として大いに期待されている。

 1AB  2AC  3AD  4BC  5CD

 

問6 国家予算における社会保障関係費に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 日本社会の高齢化に伴なう社会保障制度政策の拡充によって、わが国の一般会計歳出予算に占める社会保障関係費の割合は年々増加している。

B 社会保障関係費の内訳において、社会福祉費が平成12年(2001年)、13年(2002年)と急激に増加したのは、介護保険の導入によるところが大きい。

C 社会保障関係費の内訳において、最も比率の高いのは社会保険費である。

D 社会保障関係費の内訳において、生活保護費は2割を超えている。

   A B C D
 1 ○ × × ○
 2 × ○ ○ ×
 3 ○ ○ × ○
 4 × ○ ○ ○
 5 ○ × ○ ×

 

問7 措置制度に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 保育所の利用にあたっては、以前の措置制度の時代は福祉事務所等が指定した保育所に通わせなけれぱならなかったが、現在の利用契約制度の下では利用者が保育所を選択できる仕組みになった。

2 措置制度というのは、行政機関が措置権者として、サービス利用の有無、サービス内容等を行政処分として決定するものである。

3 児童福祉分野では、他の老人福祉、障害者福祉等の分野と同様、ほとんどの福祉サービス提供方式が措置制度から別の利用制度に転換した。

4 昭和26年(1951年)に制定された社会福祉事業法によって、初めて措置委託制度ができた。

5 措置費というのは、地方公共団体がとるべき福祉の措置に要する費用のことであり、措置委託先には当然措置委託費が支弁される。

 

問8 生活保護に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 配偶者の暴カから逃れるために家を出た母子が、生活保護施設である宿所提供施設に入居することができた。

B 配偶者の暴力から逃れるために家を出た母子が、生活保護施設である母子生活支援施設に入居することができた。

C 高校進学資金(入学金や学費など)は、生活保護制度において教育扶助として給付されることはない。

D 主任児童委員は、担当地区における生活保護の必要性の高い母子家庭を発見して福祉事務所に通告する義務を負う。

 1 AB  2 AC  3 BC  4 BD  5 CD

 

問9 社会福祉行政の実施体制に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 市町村長は、知的障害者の更生援護の実施に当たり、特に医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、知的障害者更生相談所の判定を求めなけれぱならない。

B 福祉事務所は、児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な実情の把握に努める業務を実施しなければならない。

C 児童養護施設の入所事務は、児童相談所にて行なわれる。

D 配偶者による暴カの相談に関して、都道府県は婦人相談所その他の適切な施設において相談を受け、さらに必要に応じて一時保護を行なわなければならない。

   A B C D
 1 ○ ○ × ○
 2 ○ ○ ○ ×
 3 ○ ○ ○ ○
 4 × ○ ○ ○
 5 ○ × × ○

 

問10 次の事例を読んで、以下の設問にに答えなさい。

[事例]家族構成:本人(妻、41歳) 夫(長男、45歳) 義母(70歳) 子(13歳)

経過:本人は結婚当時からの仕事に情熱を燃やしており、子どもの産休明け保育、あるいは学童保育等多様な福祉サービスを利用してきた。一年前に同居していた義母が脳梗塞で倒れ、要介護状態で退院し、ホームヘルパーなどの在宅福祉サービスを活用しながら、本人が中心となって介護している。しかし、夫や他の親族の協力のない介護負担は本人の疲労を蓄積させ、夫との話し合いでは、本人が仕事をやめるか、義母を特別養護老人ホームに入所させるかということに言及している。最近、夫の二組の弟夫婦と家族会議をもち、その席で、本人は義母を特別養護老人ホームに入所させたいと述べた。そこで、本人は弟夫婦たちから「仕事より介護を選択すべきだ」という批判の言葉を浴びせられた。

[設問]  本人が義母を特別養護老人ホームに入所させることを選択したことに関しての次の記述のうち、適切な紀述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 本人の選択は、「長男の嫁が介護すべきである」という伝統的な価値観に縛られないという選択をしたと言うことができる。

B 本人の選択は、男女共同参画社会の実現を目指す社会的な目標に照らしてみると、弟夫婦からの批判は妥当なものとは言えない。

C 本人の選択は、あまりに利己的な選択であるから、弟夫婦の批判を受け止め考えを改めるべきである。

D 育児の社会化と介護の社会化は全く別のものであり、本人の保育サービスを利用しながらの就労継続は批判されるべきではないが、仕事のために義母の介護を放棄するのは批判されても致し方ない。

E 特別養護老人ホーム入所という選択の前に、介護に関する夫や他の親族の協カ、あるいは、今まで以上の在宅福祉サービスの利用など他に検討すべき余地がある。

   A B C D E
 1 ○ × ○ × ○
 2 ○ ○ × ○ ×
 3 ○ ○ × × ○
 4 × × ○ ○ ○
 5 × ○ ○ × ×

 

問11 社会福祉士及び社会福祉主事についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 社会福祉士の職務は法に基づき、専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があることまたは環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこととされている。

2 社会福祉士国家試験は年1回行われ、平成元年(1989年)に第1回が実施され、平成13年(2001年)までに合格者は3万人を越えている。

3 社会福祉士の国家試験合格者は全員「社会福祉士」として、名称独占の免許が与えられる。

4 福祉事務所における社会福祉主事の職務は法に基づき、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務を行うこととされている。

5 社会福祉主事の資格・要件として、年齢20歳以上の者であって、人格が高潔で思慮が円熟し社会福祉の増進に熱意があることがあげられる。

 

問12 保育士についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 保育士資格の前身は、昭和22年(1947年)の児童福祉法制定に基づき保母と呼ばれて、児童福祉施設の任用資格となっていた。

2 保育士登録制度は、児童福祉法改正によって平成元年(1989年)4月1日から発足した。

3 専門職として保育士の重要性が高まっていることを背景として平成13年(2001年)、児童福祉法の改正にともない名称独占資格として法定化された。

4 保育士は、登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことが規定された。

5 児童福祉施設のみならず地域や家庭でも適切な保育が行われるよう、保護者に対して保育に関する指導を行うことが、新たに保育士の業務に位置づけられた。

 

問13 社会福祉援助技術の体系に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 直接援助技術とは、利用者と直接的な関わりをもつ中で援助がなされる技術のことで、具体的には個別援助技術(ケースワーク)と集団援助技術(グループワーク)から構成されている。

B 間接援助技術の中には、地域援助技術(コミュニティワーク)や社会福祉調査法(ソーシャルワーク・リサーチ)が含まれている。

C 間接援助技術の中には、社会福祉運営管理(ソーシャルアドミニストレーション)や社会福祉計画法(ソーシャルプランニング)は含まれていない。

D 関連援助技術と呼ばれる方法・技術には、ケアマネジメントやスーパービジョンなどが含まれる。

   A B C D
 1 ○ ○ × ×
 2 ○ × ○ ×
 3 × ○ × ○
 4 ○ ○ ○ ×
 5 ○ ○ × ○

 

問14 ケースワーカーの基本的態度としてバイステック(Biestek,F.P.)が示した7原則についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 社会福祉の基本的な方法として、個人としてとらえるよりも、世帯や家族を重視する(集団化)。

2 利用者の態度や行動をあるがままに受けとめること(受容)。

3 利用者を一方的に非難したり、利用者を裁くような態度をとってはならないこと(非審判的態度)。

4 利用者の日常生活や人生についての選択、決定は、利用者自身でなされるのであって、援助者によるものではないこと(自己決定)。

5 援助の過程で知り得た利用者の情報について、絶対に第三者に漏らしてはならない(秘密保持)。

 

問15 集団援助技術(グループワーク)において援助者が留意すべきプログラムに関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。

1 プログラムの計画段階から利用者に参加してもらう。

2 プログラムを効率的に展開するため、活動を援助者が代行しても問題はない。

3 プログラムの実施による達成こそが、援助の手段ではなく、目的である。

4 プログラム活動をグループメンバーに委ねて、援助者はそれに関与しない。

5 一度立案したプログラムは活動終了まで変更してはいけない。

 

問16 ゴールドプラン21に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 基本的目標の中には、高齢者の尊厳の確保と自立支援が掲げられている。

2 基本的目標の中には、利用者から信頼される介護サービスの確立が掲げられている。

3 具体的施策として、痴呆性高齢者支援対策の推進が掲げられている。

4 具体的施策として、元気高齢者づくり対策の推進が掲げられている。

5 具体的施策として、寝たきり高齢者対策の推進が掲げられている。

 

問17 社会福祉基礎構造改革に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 改革の目的として、利用者の立場に立った社会福祉制度の構築・サービスの質の向上、地城福祉の推進などが掲げられている。

2 痴呆性高齢者など自己決定能力の低下した者の福祉サービス利用を支援するため、民法の成年後見制度を補完する仕組みとして、地域福祉権利擁護制度が創設された。

3 福祉サービスに対する利用者の苦情や意見を幅広く汲み上げ、サービスの改善を図る観点から、第三者が加わった施設内における苦情解決の仕組みが整備された。

4 苦情解決システムは、利用者の権利を擁護するとともに、利用者が福祉サービスを適切に利用することができるよう支援することを目的とする。

5 苦情解決システムで解決できない苦情については、市町村社会福祉協議会に設置される運営適正化委員会で扱われる。

 

問18 社会福祉サービスの供給体制に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 第一種社会福祉事業は、その設置・運営は国、地方公共団体、社会福祉法人に限られている。

B 第二種社会福祉事業である保育所の供給体制において、設置・運営の要件が緩和され、営利企業等が参入している。

C 介護保険制度の導入では、指定業者を社会福祉法人に限定せず、医療法人、社団法人、財団法人、特定非営利活動法人、営利企業などに門戸を開いたため、福祉供給多元化に拍車をかけることになった。

D 福祉供給多元化の要因として、経済の低成長と財政悪化による公の部門の縮小を目的とする民間福祉サービスの推進という側面がある。

   A B C D
 1 ○ ○ × ×
 2 × ○ ○ ×
 3 × × ○ ○
 4 × ○ ○ ○
 5 ○ × × ○

 

問19 介護保険の被保険者に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 40歳以上の者は、その所得に関わらず、一律に市町村(特別区を含む)によって定められた保険料が徴収される。

B 40歳以上65歳未満の医療保険加入者の保険料は、医療保険者が徴収する。

C 第2号被保険者の要介護認定の際に審査される「特定疾病」は、12種類に限定されている。

D 65歳以上の者で、一定額以上の年金受給者の保険料の徴収は、年金から天引きされる。

 1AB  2AD  3BC  4BD  5CD

 

問20 介護福祉士の役割と倫理に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 専門的知識や技術よりも優しさの方が重要である。

B 高齢者や障害者の日常生活における介護だけでなく、利用者本人とその介護者に対する指導も行う。

C 利用者の生活用品で長年使用されていないものについては、利用者に黙って処分しても差し支えない。

D 在宅介護においては、保健師や看護師などと、援助の計画や実践について話し合い、評価についても意見を交換することが必要である。

 1AB  2AD  3BC  4BD  5CD

 

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問1.2 問2.2 問3.4 問4.2 問5.3 問6.5 問7.3 問8.2 問9.3 問10.3
問11.3 問12.2 問13.5 問14.1 問15.1 問16.5 問17.5 問18.4 問19.4 
問20.4

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