大人は1日のスケジュールを管理する時、手帳に書き込んだりカレンダーを見て確認したり、携帯やパソコンを活用していますよね。
保育園や幼稚園では朝のお集まりの時に「今日の予定」を保育者から子どもたちへ伝える場合が多いと思います。
しかし、中には
「やることがたくさんあって、何からやったらいいか分からない!」
と、1日のスケジュールを理解することが苦手な子もいませんか。
その結果、活動の準備をみんなと一緒にすることができなかったり、次の活動への気持ちの切り替えがしにくいという問題が起こります。
今回は、子どもたちに分かりやすくスケジュールを伝えるためのコツについて、事例を交えて紹介します。
目に見える形で伝えよう
スケジュールの理解が苦手な子に対して行うアプローチのひとつに「予定を可視化する」という方法があります。
例えば、今日の予定を絵に描いて伝える方法です。
「ご飯を食べる」はお茶碗の絵、「お片づけ」はおもちゃの絵……といったように、画用紙やカードに絵を描いて順番通りに並べます。もしくは、ホワイトボードに時系列順に絵を描いて、言葉を添えて説明しましょう。絵が苦手な方は、写真を使ってもOKです。
言葉や文章の説明が分かりづらくても、絵や写真という視覚的な情報を示すことで、ぐんと理解がしやすくなる場合があります。
子ども自身が“自分の手”でスケジュールを組む経験
絵や写真を使って1日の予定を伝えることは、すべての子どもにとって分かりやすいアプローチです。しかし、一方的に大人が予定を伝えるだけでなく、子ども自身が自分の手を使い、スケジュールを組み立てる経験も効果的です。
その一例を紹介しましょう。
裏面にマグネットがついた絵カードを用い、遊び感覚で子どもと一緒にスケジュールを組み立てていく方法です。
「おあつまり」「おはなのみずやり」「ごはん」「おひるね」「そうじ」「さんぽ」など、ひらがなと絵の描いたカードをたくさん用意します。「今日はどんなスケジュールにしようか?」と子どもに投げかけ、子ども自身がカードを選んで時系列順にホワイトボードに貼っていくのです。そして、「今日1日の予定」が完成します。
もちろん子どもが組むスケジュールには、「ちょっとおかしいぞ」と思う部分もあるかもしれません。そういった場合は「お昼ごはんの時間がないね。お腹すいちゃうけど、どうする?」などと問いかけ、保育者も一緒に予定を考えていきましょう。
自分自身のやりたい活動を考えて予定を組むことによって、スケジュールに対する関心が深まります。出来上がったスケジュールボードは、夕方まで見えやすい場所に設置し、「次はなにをするんだっけ?」と確認しながらできるようにしましょう。
子どものワクワク感を大切に
保育園での事例を紹介しましたが、これは家庭でも応用して行うことができます。
大人が「次はこれをやりなさい、その次はこれ」とすべてのスケジュールを組み過ぎるのは禁物。自分で自分のやることを決める「ワクワク感」は、子どもが成長していくための栄養素になります。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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