多くの保育園やこども園では毎日2時間〜3時間ほど午睡の時間があります。午睡は子どもたちが体を休め、ゆっくりと過ごす時間です。どのような配慮や工夫ができるでしょうか。
明るさと室温に気をつけよう
子どもたちが落ち着いて入眠できる環境を整えます。隣の部屋の明かりや音が漏れていたら、安心して眠ることができません
また、室内の温度・湿度管理にも気をつけましょう。夏季は26〜28度、冬季は20〜23度、湿度は50 %前後が快適で健康に過ごせる目安です。
気候に応じて衣類や掛け布団の変更を
寝巻きに着替える場合は、汗を吸い取りやすい薄手の綿生地のものを用意してもらうように家庭へ呼びかけます。また、冬は掛け布団を暖かいものにするなど、気候に合わせて調整します。
ただし、寒い日に厚着をして寝たり、厚手のかけ布団を使用したりすると窒息や熱中症のリスクがあります。実際に過去には死亡事故も発生しているため、注意が必要です。
呼吸のチェックは忘れずに
睡眠中の窒息死、うつぶせ寝を防ぐためにもこまめな呼吸確認は重要です。特に乳児期はSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクがあります。
午睡時には保育者が必ず子どもたちのそばについて様子を見守る必要がありますが、呼吸チェックのためのICTなどをチェックの補助で使用している園も増えています。チェックの正確性も上がり、保育者の負担軽減にも役立ちます。
また、子どもの体調が悪い場合、睡眠中に容態が急変することもあります。そういった変化を見逃さないためにも、呼吸チェックは大切です。
寝たがらない子には……
中にはお昼寝をしたがらない子もいると思います。寝ることを強制したり叱って寝かしつけることはしてはいけません。
午睡をしたがらない理由は様々です。朝起きるのが遅かった、妹弟が生まれて情緒が不安定になっている、日中の雨のせいで体を動かしたりない、もともと睡眠時間が短い……など。そういったときは、寝ている子の睡眠の妨げにならないことを前提に、保育室の一角に遊びのコーナーを設けてみるのもおすすめです。絵本や粘土、お絵描きなど落ち着いて遊べるように環境をつくるとよいでしょう。
睡眠時間は子どもたちの体調や年齢を考慮して
午睡で長く眠りすぎてしまうと、夕方から夜にかけての生活リズムが崩れてしまうので、決まった時間にカーテンを開けて部屋を明るくし、自然に目覚められる環境をつくります。
また、生活リズムが整っていない乳児期や、体調不良の子の場合は個々のリズムを考えて保育を行います。
午睡時間は保育士の休息時間でもある
午睡時間は保育士にとってホッと一息つくことができる時間でもあります。他の保育士と上手に連携を取り、交代で子どもたちを見守りながら、自分の心身も休める時間にしたいですね。
(記事公開日:2018年04月12日)
(記事更新日:2024年11月28日)
佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |