めぐみ先生の保育コラム

保護者からのクレームを減らすための対策

保育園で働いていると、保護者からクレームをいただくこともあります。クレームの中には理不尽な内容もありますが、園側の事前の対応によって未然に防げたケースも多々あります。

今回は、保護者からのクレームの事例と共に、そのクレームをできるだけ減らすための対策についてご紹介します。

 

ケース1「先生に無視をされた」

登園時に挨拶をしたにも関わらず、先生に無視をされてしまったというクレーム。「●●ちゃんのお母さんには声を掛けていたのに、私には声を掛けてくれなかった。もしかして嫌がらせかも……」と疑心暗鬼が募っているようです。

 

【対応】

朝の受け入れ時は、子どもの健康チェックを行ったり、欠席の電話を受けたり、保育士にとって何かと忙しい時間帯です。故意に保護者の挨拶を無視するのはあってはならないことですが、他のことに集中していると保護者の声にうっかり気づかない……なんていうことはあり得ます。

日頃から周りをよく観察し、登園した親子のほうに必ず目を向けて挨拶をする習慣をつけると良いかもしれませんね。また、自分以外の職員が保護者に気づいてない様子だったら、気づけるようにそっと声を掛けると良いと思います。

 

ケース2「おむつ交換を忘れていたのでは?」

0歳クラスに入ったクレーム。保育園から帰ってオムツを外してみると、排泄物が2〜3回分たまっていました。なぜこんなになるまで先生たちはオムツを替えてくれなかったんだろう?忙しかったとしても、健康に関わることだし……。お母さんは迷いながらも、連絡帳で担任に不安な気持ちを伝えました。

 

【対応】

この事例は、職員同士の連携ミスと確認不足が原因です。おむつ交換を忘れておしりが汚れたままになってしまうと、おむつかぶれや感染症を起こしてしまうリスクが高まります。特に、シフトの変わり目の伝達は重要です。

「●●ちゃん、最後にオムツを替えたのは14時です。もうすぐ交換したほうがいいと思うので、気にかけてあげてください」など、次の職員に伝えましょう。

また、口頭だけでなく職員専用のホワイトボードなどを使って情報を「見える化」することも効果的です。乳児クラスの子どもたちは快・不快を言葉で訴えることがまだできません。職員全員で見守り、排泄や食事、着替えなど身の回りのことを常に意識しましょう。

 

ケース3「うちの子だけ写真がない……」

A園ではその日の様子を保護者に伝えるため写真を掲示しています。Bちゃんの保護者も、我が子の様子を見ようと掲示スペースに目をやりましたが、Bちゃんが写っている写真が1枚もありません。「他の子は写っているのに不公平じゃない!写真に写っていないということは、うちの子をちゃんと見ていないの?」仕事帰りで疲れていたことも重なり、怒りを園長にぶつけました。

 

【対応】

写真を撮ることや掲示することは、業務全般の中ではそれほど優先順位が高いことではないかもしれません。中には写真が苦手な子もいるし、その日の気分によっては写りたがらないことも。職員の誰かが休みだと、人手が足りなくて全員の写真を撮れないこともあるでしょう。保護者に対しては「あくまでも活動が優先であるため、毎日写真を掲示できないこと」や「全員が写真に写らない可能性もあること」を年度始めの懇談会の席やおたよりの文面で共有し、理解していただくように努めましょう。そして、写真に写っていないからといって、保育を怠ってはいないということも日々のコミュニケーションの中で少しずつ伝えていきたいですね。

一方、遠足のアルバムなど特別な行事の写真で1人だけ写っていなかったり、名簿の名前漏れなどは問題です。このようなミスを防ぐため、1人だけではなく複数の職員でチェックを行いましょう。

 

クレームを防ぐには「連携」「情報共有」「マナー」が大切

保護者から寄せられたクレームの一例と、その予防策についてお伝えしました。もしもクレームが発生してしまった場合は、同じクラスの職員や主任、園長とも情報を共有し、園全体の問題として真摯に対応することが大切です。

また、保育士同士の連携、保護者との丁寧な情報共有、社会人としての基本的なマナーを守っていれば、未然にクレームを予防できる可能性は大きくなるはずです。

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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