めぐみ先生の保育コラム 保育士の為のお役立ち情報

残業や持ち帰り仕事。保育士の「働きすぎ」問題の打開策

近年、保育士の労働問題に注目が集まっています。

 

「サービス残業と持ち帰り仕事が多すぎる!」

「保育士不足のため、働かされすぎている保育士がたくさんいる」

 

残念ながら、このような保育園があることは事実です。

長い間、こういった問題が「業界の当たり前」になってしまい問題視されなかった背景には、保育士の業務の性質も関係しているのではないでしょうか。今回は、保育園で働く保育士自身が、働きすぎの問題を打開するためにはどうしたら良いか、私の経験をもとにお話します。

 

保育士の現状。勤務時間外に行う多量の業務

 

早番で朝7時から勤務。定時退社をすると16時には保育園を出られるはずなのに、行事の準備が終わっていないから夜の20時まで残業。

こんな働き方をしている保育士の方は、決して少なくないと思います。

 

保育士の業務内容は、子どもと向き合うだけではありません。

行事の準備に環境整備、保護者面談の資料作りや部屋飾りの製作、ピアノの練習、そして大量の書類作成。特に書類は、日案、週案、月案、行事の計画書、一人ひとりの児童票……etc

これらは、子どもの保育と併行してできる業務ではないため、子どもたちが帰った後、つまり自分の勤務時間外に行うしかないのです。保育園でできなかった衣装や壁面の製作などは、土日に家で作業することもあるでしょう。

 

このような膨大な仕事量が原因で、睡眠不足になったり、体調を崩してしまう保育士もいます。「無理をせず、ほとほどに」がベストであると分かっていても、園の体制が変わらない限り、一人の力だけではなかなか変えていけない問題だと思います。

 

残業や持ち帰り仕事を減らすためにできること

時間外労働の負担をなるべく軽くする方法として、以下のようなやり方をオススメします。

 

保育士同士で連携し、保育時間内でも作業ができるようにする。

一人が子どもたちを見守り、もう一人は保育室の机で書類を書く。こういった連携を交代で行うことにより、定時後の仕事を少しでも減らすことができます。もちろん、活動内容によっては難しい場合もあるので、午睡時や子どもたちが落ち着いて自由遊びをしている時間を見計らって作業をします。ポイントは、子どもたちにお尻を向けないこと。何かあったらいつでも保育に入れる体制を忘れずに。

 

スマホやパソコンの機能を活用して作業を効率化する

一般企業ではアプリやソフトを使った作業の効率化が当たり前になっていますが、保育業界ではなかなか普及しません。しかし、保育園によっては保育士に一台ずつ業務用のスマホが支給され、保育士同士の連絡事項の共有や記録が簡単に行える工夫をしているところもあります。

ToDoの管理や保育の引き出しの共有など、便利な機能やサービスを部分的にでも使うことで、保育士の負担が軽くなる場合があります。

 

自分の中で「ここまで」を決める

行事の準備や子どもたちへのプレゼント作りなど、良いものを作りたい!と思うあまり際限なく手を加えてしまうことがありませんか?保育士の仕事は、「ここまでやったら正解(成功)」という答えのないものが多いため、時間を忘れて作業に没頭してしまう場合があります。

これが積み重ならないように「今日は1時間やったら帰る」「家での作業は午前中だけ」など、タイムリミットを意識して仕事をすることも必要です。

 

 

残業や持ち帰り仕事は、保育園の体制の問題でもあります。保育士一人が改善しようと動いても、変えることができない場合もあります。心と体が限界を迎える前に、転職をすることも選択肢の一つではないでしょうか。

子どもと向き合う職業である以上、自分の心と体が健康であることは不可欠です。

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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