めぐみ先生の保育コラム

保育士の「ノンコンタクトタイム」とは?

「ノンコンタクトタイム」という言葉を聞いたことがありますか?

保育士が子どもから離れて記録や教材の作成を行ったり会議をしたりする時間のことを、ノンコンタクトタイムといいます。

今回は、なぜ保育現場でノンコンタクトタイムが必要なのかについて解説します。

 

ノンコンタクトタイムが必要な理由

今、なぜノンコンタクトタイムの必要性が唱えられているのでしょうか。その理由についてまとめました。

 

(1)保育記録の充実

保育の質の向上が現場の課題となっている昨今、子どもたちの成長を丁寧に記録したり、振り返って次の保育に活かしていくことは重要であると考えられています。ノンコンタクトタイムを取り入れることにより、担任保育士はクラスの活動を離れ、児童票や保育計画といった書類の作成に時間をかけることができるようになります。

 

(2)職員同士のカンファレンスの充実

話し合いの時間をしっかりと確保することは職員の専門性を高めていくことに繋がります。クラスごと、経験年数ごと、全体会議、といったように階層を分けてミーティングを行っている園もあります。子どもたちから離れる時間が少ないと、職員同士の話し合いも疎かになりがち。活発な意見交換を生むためには、話し合いに集中できる時間が必要です。

 

(3)保育士の過剰労働の抑制

勤務時間内に子どもから離れる時間がない場合、早朝や休日に仕事をしたり、夜遅くまで職場に残って書類作成や会議をするということが業界全体の問題になっています。こういった過剰労働を抑制するためにもノンコンタクトタイムは必要です。交代で事務室に行って作業をしたり、人手に余裕がある時間をうまく活用して会議を行ったりすることで、必要以上の残業や休日出勤をしなくてもよくなります。

 

ノンコンタクトタイムを取り入れるためには

保育士が子どもたちの前から離れる時間を確保するということは、それだけ多くの職員が交代で保育を行う必要があるということです。人員が十分に確保できていない園では、ノンコンタクトタイムの導入は難しいかもしれません。

 

また、職員同士のきめ細やかな情報共有とミュニケーションも大切です。多くの職員がクラスの子どもたちに関わる中で「あの先生は知っているけど、私は知らなかった」というミスが起こる可能性もあります。安全な保育環境をつくり、子どもたちの育ちを大切に見守るためにも、全員が意識を揃えて取り組んでいくことが求められます。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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