めぐみ先生の保育コラム 保育士の為のお役立ち情報

登園時の切り替えが難しい子への対応

4月になり、新しい1年が始まりました。新しい保育室へのお引越しや、新しいお友達や先生との出会いは、子どもにとって大きな環境の変化です。ちょっぴり気持ちが不安定になり、登園時に保護者となかなかお別れができない姿が見られることも珍しくありません。

登園時の気持ちの切り替えが難しい子に対して、保育士は、どのように対応したら良いでしょうか。

 

年度の始まりは特に、一対一の関わりを大切に

 

朝、保育園にやってきた時に「ママと離れたくない!」と泣き出してしまう子もいるでしょう。保育士が抱っこしようと手を伸ばしても、必死で抵抗されてしまうこともあります。

 

このような時は、他の保育士に全体の見守りを頼み、一対一でその子に関わる余裕が作れると良いですね。丁寧に気持ちを受け止めてフォローしてあげることで、その後の活動には落ち着いて参加できるようになるかもしれません。

すぐに保育室に入るのではなく、「先生と二人でお庭をお散歩してからお部屋に行こうか」など、“ちょっと特別なこと”を挟んで気持ちが落ち着くのを待ってあげる方法もあります。

 

保育室を離れる余裕がない場合は、膝の上で本を読んであげたり、一緒にカバンを片付けたりして、「ちゃんとあなたを見てるよ」と伝え、安心感が持てる

ような援助をしましょう。

 

保護者が安心して出勤できるように

 

朝は、保護者も出勤前で忙しい時間帯です。しかし、保育園の玄関で我が子が泣き続けていると、「申し訳ない」という気持ちになってしまう保護者が多いようで、中には「泣き止むまで一緒にいます……」と提案してくださる方も。そうなると、スムーズな受け入れはさらに難しくなります。

 

ここでは、保護者に安心してお子さんを預けてもらえるように働きかけていくことが大切です。受け入れ時に泣いてしまうのは珍しいことではないこと、泣いていても安心してお任せくださいとしっかりと伝えていきましょう。

 

そして、フォローするのは朝の登園時だけではありません。保護者は会社に出勤した後も「うちの子は泣き止んだかしら?」と心配しているはずです。その日の降園時には、保育園での様子をなるべく詳しく保護者に伝えましょう。

 

これを繰り返していくことで、子どもは次第に保育園生活に慣れ、保護者も安心して我が子を送り出せるようになってくるはずです。

 

 

感受性が豊かな子は、長い目で見守っていく

 

登園時の行き渋りは、一人ひとり個人差があります。その背景には、発達の差や性格、家庭環境、その日の体調など様々な要因があることも忘れてはいけません。

 

泣かずにお友達と遊び始める子もいれば、何ヶ月もかけて朝の気持ちの切り替えを身につける子もいます。特に、感受性が豊かな子は切り替えが難しい場合もあるため、長い目で見守っていく必要があるでしょう。

 

「早く保育園生活に馴染ませなければ」と大人が焦ってしまう気持ちは、子どもにも伝わります。その子にとって、いちばん落ち着ける働きかけについて考え、他の保育士とも相談しながら共通意識を持って取り組んでいきましょう。

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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