めぐみ先生の保育コラム 保育士の為のお役立ち情報

他の子と“ちょっと違う子”の輝く個性を発見する

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ADHD、アスペルガー症候群など、発達障害に関することは、保育・教育関係者以外の方々にも関心が持たれる時代になってきました。私もこれまでに、様々な研修で専門家の方々の話をもとに勉強してきましたが、発達障害に対する考え方は専門家の間でも複数の見解があります。

たとえば「発達障害」という表記に関しても、「障害」とすべきか「障がい」とすべきか。そもそも「発達障害」という呼び方自体が良くないと考える専門家の方もいます。

ここでは、一般的な呼称として「発達障害」という言葉を使わせていただきます。

 

「発達障害では?」と捉えた時に陥りがちな関わり方のミス

朝の会でお話をしていても、座っていられず床に寝転がり出す子。

お散歩で「帰るよ」と声をかけると、パニックになってしまう子。

会話をしていても目が合わない子、笑わない子。

いつもお友達とトラブルばかりで、年長さんになっても言葉のやり取りが苦手な子。

 

そんな子が、あなたの保育園にはいませんか?

こういった特徴が見られる子がいると「もしかして発達障害かも」「保護者にはどう伝えるべきか」「加配が欲しい」「療育は必要?専門家への相談はしておくべき?」といった話題が職員間で上がってくるかもしれませんね。

 

療育や加配のことで頭がいっぱいになってしまうと、保育士にとっていちばん大切な【その子と向き合う】ことがおろそかになってしまいます。これは、私が新人時代によくやってしまった間違いです。

 

発達障害児、という捉え方をすると、その子のマイナス面ばかりが気になってしまいます。保育園は集団生活ですから、椅子にきちんと座れないことや、みんなと一緒に同じ活動ができない姿は「正さなければいけないこと」と感じ、保育計画の中にどうやってその子を当てはめていこうかと考えるようになってしまいます。

 

しかし、

みんなと同じことができない=みんなが持っていない感性を持っている

と捉え直してみると、その子への見方が変わってくるはずです。その子だけが持っている良さ、強み、アイデアが見えてきます。

 

その子の特徴を「正すべき障害」とするのか「伸ばすべき個性」とするのか。

大人の気づきと関わり方ひとつで、大きく変わってくるのです。

 

その子と同じ目線に立って、同じ行動をしてみると……

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2歳児の担任をしていた時のエピソードを紹介します。

ああ、なんでいつもこの子はお集まりの時に足をバタバタしているんだろう?困るな〜……。と感じていた新人時代の私。ある日、その子の隣に座って同じように足をバタバタさせてみました。すると、その子は「ニッ」と笑って私の顔を見上げました。

「バタバタするの、面白いね」

私が共感すると、その子はさらに楽しそうに足をバタバタし、クラスの子どもたちもみんなで「バタバタ大会」が始まりました。その子は音楽や踊りが大好きだったのだと、後になって分かりました。

 

“ステキ”の第一発見者になろう

発達障害に関しては、様々な考え方があります。

落ち着いて集団行動に入れるような工夫、友達とのコミュニケーション能力を高めていく方法など、多くのノウハウが書籍やインターネットで紹介され、保育士をしていく上では大きなヒントになることも確かです。

 

しかし、それ以前に大切にしたいと私が考えたのは、その子の良さを発見し、愛すること。そして、クラスのお友達や同僚、保護者にも、その「良さ」を伝えていくことです。身近な大人が個性を認めてあげることは、子どもが自分自身のことを認め、自尊心を育むためにもとても大切なことです。

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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