めぐみ先生の保育コラム

虫が苦手な保育者たちのお悩みは

ダンゴムシ、アリ、セミ、カブトムシなど、子どもたちは昆虫に興味津々。「先生、見てー!」と園庭で捕まえた虫を見せてくれたり、図鑑を引っ張り出してきて飼い方を自分で調べたり……その情熱に驚かされることも少なくありません。

 

一方、保育者の中には虫が苦手な方もいるでしょう。

虫が苦手な保育者のお悩みや克服したエピソードなどを、現役の先生たちに聞いてみました!

 

苦手なものを無理に克服しなくても

認定こども園で働くA先生(5歳児担任)

「小さい頃から昆虫が大の苦手!でも、保育者になってから、『見る』『指でつつく』くらいならできるようになりました。先輩には『情けないなあ』と呆れられたこともありますが、今ではその先輩が助けに入ってくれています(苦笑)。誰でも得手不得手はあるので、無理に克服しなくてもいいんじゃないかなと個人的には思うんです……。虫が苦手な子の気持ちにも寄り添えますし。子どもたちも私が虫が苦手なことを分かっていて『大人になったらきっと触れるよ』と励ましてくれました」

 

「この子たちを守らなくては!」咄嗟に体が動いた

小規模保育園で働くB先生(フリー)

「一人暮らしの家でゴキブリが出たときは怖くて退治できなかったんですが、保育室にゴキブリが出たときは、『この子たちを守らなくては!』と咄嗟に体が動きました。自分でも驚いています。必要に迫られたら、苦手を克服できるんだなと自信がつきました」

 

子どもから学んだリスペクトの気持ち

公立保育所で働くC先生(3歳児担任)

「カブトムシやクワガタは大丈夫なんですが、イモムシやミミズなどニョロニョロしている生き物が苦手で、できれば出会いたくないと思っていました。しかし、子どもたちと一緒に野菜の収穫体験をしたところ、出るわ出るわ、ニョロニョロたち。心の中で悲鳴を上げつつも態度には出さないように頑張りました。そんなとき子どもが『虫も一生懸命生きててえらい』と一言。そうか、そういう視点をもつことを自分は忘れていたかもしれないと子どもから学びました。以来、ニョロニョロたちが出ても、なるべくリスペクトの気持ちを忘れないようにしています」

 

苦手だけど、興味をもつことはできる

保育の仕事は、昆虫との出会いがつきものです。

もともと苦手意識のあった方も、この仕事をする中でいつの間にか慣れてしまったという話もよく聞きます。

苦手を克服することは決して簡単なことではないかもしれませんが、感受性の豊かな子どもたちの前で「先生は虫が嫌い」とはっきり伝えてしまうと、子どもたちにも苦手意識が芽生えてしまうことがあります。C先生のように「苦手だけど興味をもつ」ことも、大切かもしれませんね。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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