保育士試験

2006年度保育士国家試験 小児保健

平成18年度 小児保健

 

問1 次の文は、「保育所保育指針」に示されている6か月未満児の保育の内容に関する記述である。文中の( A )~( E )に当てはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい

 子どもの心身の( A )の未熟性を理解し、( B )との連携を密にしながら( C )・安全に十分配慮し、( D )に応じて欲求を満たし、次第に睡眠と覚醒のリズムを整え、健康な(E )を作っていく。

  A    B      C       D      E
1 形態 家庭    健康    健康状態 生活習慣
2 成長 医療機関 事故防止 発達状態 心身
3 機能 家庭    保健    個人差   生活リズム
4 発育 保健所   疾病予防 健康状態 身体機能
5 発達 栄養士   健康増進 食欲    哺乳リズム

 

問2 次の文は、平成16年(2004年)の人口動態統計に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 合計特殊出生率は、人口1000対9.3で前年よりも上昇した。

B 新生児死亡率は、人口1000対3.1で前年よりも低下した。

C 乳児の死因順位では、乳幼児突然死症候群は上位5位以内に入っている。

D 1~4歳の死因では、不慮の事故が悪性新生物よりも多い。

E 自然増加率は、わが国としては初めて前年よりも低下した。

1 AD  2 BE  3 CD  4 BC  5 DE

 

問3 次の文は、乳幼児期の保健に関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。

1 1歳6か月児健康診査は、都道府県の保健所が実施する乳幼児期の健康診査であり、その目的にはむし歯予防もある。

2 3歳児健康診査は、身体発育、精神運動機能発達の評価、疾病異常の早期発見はいうまでもなく、視聴覚検査も行う。

3 先天性代謝異常の検査においては、乳児の尿を用いて代謝産物の排泄状況をマススクリーニングによって行う。

4 身体に障害のある児童は、養育医療の給付を受けることによって障害の機能回復のための治療や訓練を行うことができる。

5 悪性新生物、慢性腎臓疾患、ぜんそく等の難病をもつ児童は、生涯にわたって医療費の給付を受けることができる。

 

問4 A君(3歳・男児)は、身長92cm、体重15.9kgである。なお、身長別標準体重は13.5kgであり、3歳男児のカウプ指数97パーセンタイル値は18.3である。A君の発育の評価について、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A A君の体重は標準体重より2.4kgも重いので太りすぎである。

B A君のカウプ指数は18.8であり、18.3を超えているので太りすぎである。

C A君のカウプ指数は20.7であり、18.3を超えているので太りすぎである。

D A君の肥満度は20.3%であり、20%を超えているので、やや太りすぎである。

E A君の肥満度は17.8%であり、15%を超えているので太りぎみである。

  A B C D E
1 × ○ × ○ ○
2 × ○ × ○ ×
3 × × ○ × ○
4 × ○ × × ○
5 ○ ○ × ○ ×

 

問5 次の文は、小児期の歯科保健に関する記述である。不適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 乳歯の生える順序は、下あごの前歯が最初に生えることが多いが、上あごからの場合もあり、生える順序で心配する必要はない。

B 虫歯予防や永久歯の萌出のために、乳歯の場合は歯と歯の間に多少のすき間が開いている方が望ましい。

C 食物を食べていない時の口中の酸度はpH6.5~7.0くらいであるが、pHが上昇することにより、歯が侵されやすい状態になる。

D 虫歯の発生には、歯垢中の細菌の存在が要因としてあげられるが、咀しゃくや唾液流出の状態も関係している。

E 乳歯の多くは妊娠後期に形成を開始し、続いて石灰化が行われる。

1 AB  2 CD  3 BD  4 CE  5 AE

 

問6 次の文は、発育に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 出生時には頭囲は胸囲を上回るが、一般的には生後2か月前後で胸囲が頭囲より大きくなる。

B 出生時の頭蓋骨は縫合部が癒着していないため、大泉門と小泉門が開いた状態であるが、大泉門は生後まもなく閉じる。

C 2歳未満の身長計測は仰臥位で行い、足蹠面を固定し、頭部に移動版を垂直に当てて目盛りを読み取る。

D 妊娠中の母親の喫煙本数が多いと出生体重は軽くなるが、父親や同居人の喫煙と出生体重との間にも同様の関連がみられる。

E 出生後に肺呼吸が開始されると、心臓・血管系に、卵円孔やボタロー静脈管の閉鎖などの解剖学的変化が認められる。

1 AC  2 AD  3 BD  4 CE  5 BE

 

問7 次の文は、母乳の保健学的特徴についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 母乳にはビタミンKが乳児用調整粉乳に比して多いので、母乳栄養児には頭蓋内出血の発生が少ない。

B 母乳は、すべての産婦が授乳できるので、子どもの健康にとっても安全性が高い。

C 母乳栄養児の場合には黄疸が生後2?3週間まで遷延することがあり、これを母乳黄疸という。

D 哺乳反射の中の吸啜反射は、母乳を吸う動作にとって重要であり、未熟児でも生後直ぐに認められる。

E 母乳栄養児の糞便には、人工栄養児のそれに比して大腸菌が少なく、ビフィズス菌が多く含まれている。

1 AB  2 BC  3 CD  4 DE  5 CE

 

問8 次の文は、小児期の消化吸収機能やアレルギーに関する記述である。不適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 乳時期の初期には、胃の噴門の筋肉が十分に成熟していないため、吐乳や溢乳がみられることも珍しくない。

B 食物アレルギーの予防のためには、離乳食の早い時期からタンパク質を与えることが望ましい。

C 乳幼児において、特定の食品に対するアレルギーがある場合は、その食品の制限や除去食を成人に至るまで続ける必要がある。

D 食物アレルギーの症状には、強いアレルギー反応によりショック状態に陥り、命に関わる場合もあるので、注意が必要である。

E 保育所におけるアレルギー疾患への対応については、嘱託医等との連携とともに、家庭との連絡も重視する。

1BC  2AB  3CD  4DE  5BD

 

問9 次の文は、小児期の症状への対処についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 下痢の場合には、嘔吐が激しくなければ、湯冷ましやお茶を少量ずつ与え、水分の補給につとめる。人工栄養の場合は濃度を濃くして与える。

B 発疹は、重要な疾患の症状の一つであり、すぐに治療を受ける必要がある。

C 嘔吐がある時は、下痢をともなう場合は消化器系の疾患のことが多いので、経口的に食事を与えることはひかえる。脱水症になりやすいので水分補給に留意する。

D けいれんが起きた時には、舌をかまないように口の中にタオルなどを入れる。発作の継続時間や左右差、意識状態、発熱の有無、便の状態、嘔吐の有無などをできるだけ正確に把握する。

E 鼻血が出た時には、出血している側の鼻にガーゼか脱脂綿等をそっと詰めて、鼻中隔の方向に圧迫し、止血する。

1 AE  2 BC  3 BD  4 CD  5 CE

 

問10 次の文は、小児の睡眠に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があるが、ノンレム睡眠時には、脳が働き、身体が眠っている状態である。

B 新生児期の睡眠は多相性であるが、2歳頃になると単相性の睡眠になっていく。

C 日中の保育活動のあり方は、家庭における夜間の睡眠にも影響をおよぼす。

D 午睡は、子どもが午前中の活動による疲労を癒すために重要であり、午後の保育時間には、なるべく長い時間の午睡時間を確保することが必要である。

E 睡眠には個人差があるので、夜の睡眠時間や午睡の時間は、子ども一人ひとりに見合った時間が確保されるよう心がけることが望ましい。

1 AB  2 AC  3 CE  4 CD  5 DE

 

問11 次の文は、思春期の健康増進に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A わが国の子どもたちの健康増進に関する重要な取り組みをまとめた「健やか親子21」においては、「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」が主要課題に挙げられている。

B 思春期には成長にともない、甲状腺ホルモンが相対的に過剰になり、代償的に甲状腺が肥大することがある。

C わが国の母子保健サービスの一つである「健全母性育成事業」では、中・高生が乳幼児やその保護者とふれ合うことにより、父性・母性を育てることを目標としている。

D 思春期女性の、やせの割合が増加しており、思春期以降の適正体重の維持が重要な課題となっている。

E 思春期の性や心の問題への対策として、ピア・カウンセリングの機会の提供や、学校カウンセラーの配置など、相談体制の強化が行われている。

1 ABC  2 ACD  3 ADE  4 BCE  5 BDE

 

問12 次の文は、疾病の予防に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 一次予防とは、病気の早期発見、早期治療をさし、これにより生活習慣の改善を図ることである。

B 二次予防は、病気の悪化を防止するために、病気を早期に発見する方策を講じることである。

C 二次予防には、残存機能を回復させ、早期に社会復帰を図るリハビリテーションが含まれる。

D 予防接種は、感染症予防のための代表的な対策であり、一次予防に区分される。

E 乳幼児期の各種健康診査や育児相談は、病気の早期発見を目指した二次予防として重要な役割を果たしている。

1 AC  2 BE  3 CD  4 BD  5 AE

 

問13 次の文は、小児の予防接種不適当者(予防接種を行ってはならない者)や接種要注意者について記述したものである。適切な記述を○、不適切な記述を× とした場合の正しい組み合わせをーつ選びなさい。

A 心臓疾患やてんかんがある場合、予防接種は禁忌であり、主治医の了解があっても接種してはならない。

B 発熱がある場合や急性疾患にかかっている場合は接種要注意者なので、医師とよく相談してから予防接種を行う。

C 受けようとするワクチンの成分によって、アナフィラキシーを呈したことがある場合は、予防接種を受けられない。

D 前回の予防接種によって発熱があった場合、今回の予防接種は受けられない。

E 妊娠中の予防接種は、すべてのワクチンにおいて禁忌であり、受けてはならない。

  A B C D E
1 × × ○ × ×
2 ○ × ○ × ×
3 × × ○ ○ ○
4 ○ ○ × × ×
5 × ○ × ○ ×

 

問14 次の文は、「腸重積症」に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせをーつ選びなさい。

A 5~9か月の発育のよい乳児に起こる病気で、乳児の死亡原因の上位を占めている。

B 腸が腸の中にはまり込んで閉塞を起こす病気で、腸閉塞のーつであり、緊急な対応が必要である。

C 子どもは激しく泣き出し、顔色が悪くなり、吐いたり、粘液の混じった血便を出したりする。

D 治療が遅れると腸が破れ(穿孔)、命を落とす危険性があるが、一般的には発症から4日以内であれば、命を落とす危険性はない。

E 治療方法は高圧浣腸で整復するが、発症後時間が経過している場合には、この処置により腸が穿孔する危険性もあり、開腹手術が必要になる。

  A B C D E
1 × ○ ○ × ○
2 ○ ○ ○ × ○
3 × × ○ ○ ×
4 × ○ × ○ ×
5 ○ × ○ × ○

 

問15 次の文は、小児の発熱についての記述である。正しい記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせをーつ選びなさい。

A 小児の体温調節機能は未熟であり、ちょっとした感染や環境温の変化などでも発熱しやすい。

B 発熱は乳幼児にとってはよくみられるありふれた症状であり、放置しても差し支えない場合が多い。

C 小児は発熱により脳障害を起こすこともあり、手段を問わず、急いで解熱させなければならない。

D 小児のいる家庭では、アセトアミノフェンという安全な解熱剤を常備して、発熱したら即座に用いるのが原則である。

E 発熱は小児の身体の異変を知らせる重要な症状であり、医師の指示を受けることが望ましい。

  A B C D E
1 × ○ ○ ○ ×
2 × ○ × × ○
3 ○ ○ × × ○
4 ○ × × × ○
5 ○ ○ ○ ○ ×

 

問16 次の文は、児童虐待に関する記述である。適切な記述の組み合わせをーつ選びなさい。

A 低出生体重児は、虐待の対象となることが多いといわれている。

B 被虐待児の一時保護の施設として児童館が各地に設置されている。

C 市町村は、児童虐待の防止を図るために関係機関によって構成される組織を設置する。

D 虐待の早期発見には、子どもの心身の状態の観察に加えて、保育所等での欠席状況、登所時の状況にも留意する。

E 厚生労働省によると、平成16年(2004年)度の児童相談所における虐待に関する相談処理件数は、約1万件である。

1 ABE  2 ACD  3 BDE  4 BCD  5 CDE

 

問17 次の文は、子どもの健康状態の見分け方や観察するポイントについての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせをーつ選びなさい。

A 子どもは病気になると、食欲不振になることが多い。

B 子どもは周囲の大人に気づかれないように痛みを我慢する傾向がある。

C 子どもは大人と違い、病気になっても顔色が変わらないので、病気を発見しづらい。

D 子どもの不機嫌は、気に入らない時に示す表現であり、病気とは関係がない。

E 子どもの健康状態を見分けるには、「何となくいつもと違う」という印象が大切である。

  A B C D E
1 × ○ ○ × ○
2 ○ × × × ○
3 × × × ○ ○
4 ○ ○ ○ ○ ×
5 × × ○ ○ ×

 

問18 次の文は、子どもの事故についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせをーつ選びなさい。

A 生後3か月ぐらいまでの乳児は、吐乳により窒息を起こしやすいので、授乳後にうつ伏せ寝の姿勢をとらせる。

B 乳児期後半では、手に取ったものを何でも口にもっていく習性があり、窒息や誤飲を起こしやすい。直径2cm以上のものであれば口腔内に取り込むことができないので、安全である。

C たばこの誤飲は子どもの事故の中で最も多く、1/4本以下の誤飲であれば、水か牛乳を飲ませてから吐かせ、病院に連れて行く。

D 灯油や揮発性溶媒(シンナー、べンジンなど)を誤飲した時は吐かせてはならない。

E 豆などが気管に入って咳き込んでも、症状が治まりさえすれば、放置して差し支えない。

  A B C D E
1 ○ ○ ○ × ○
2 × × ○ ○ ×
3 × ○ ○ ○ ×
4 ○ × × × ○
5 ○ ○ ○ ○ ×

 

問19 次の文は、医療機関を受診する前の救急処置についての記述である。文中の( A )~( E )に当てはまる語句の適切な組み合わせをーつ選びなさい。

戸外で子どもがけがをしてぐったりしている場合、( A )で処置をしようとしてはいけない。場合によっては、大声で( B )を呼び、一緒に手分けして処置を行う。場合によっては止血する人、( C )をする人、( D ) をする人、( E )人など多数の人を呼び集める必要がある。

   A      B           C       D           E
1 自分一人 他の人      元気づけ  身体の保温   タクシーを呼ぶ
2 大勢で   医師か看護師 傷の手当て 身体の清拭   救急車を呼ぶ
3 自分一人 他の人      人工呼吸  心臓マッサージ 救急車を呼ぶ
4 自分一人 保護者      人工呼吸  身体の保温   自家用車を用意する
5 大勢で   保護者      元気づけ  傷の手当て   救急車を呼ぶ

 

問20 次の文は、保育所の衛生管理・事故防止に関する記述である。不適切な記述の組み合わせをーつ選びなさい。

A 砂場は清潔で安全な状態を保つように配慮し、定期的に30~40cmを目安に砂を掘り起こす。

B 保育所では、救急用の薬品や材料を整備するとともに、救急処置を熟知することが必要である。

C 各部屋では、採光、換気等の保健衛生や危害防止に配慮するとともに、遊具や設備などの点検を行い、保育上の安全にも留意する。

D 水道水の残留塩素の濃度は、出来る限り毎日測定し、1ppm以上の濃度のあることを確認する。

E 下痢をしている子どもに、ビニールプール等を使用して水遊びをさせる場合には、水の入れ替えを頻繁に行えばよい。

1 AB  2 DE  3 CD  4 AC  5 BE

 

     ↓     ↓     ↓     解答をチェック     ↓     ↓     ↓

 

問1.3 問2.3 問3.2 問4.4 問5.4 問6.2 問7.5 問8.1 問9.5 問10.3
問11.3 問12.4 問13.1 問14.1 問15.4 問16.2 問17.2 問18.全 問19.3 
問20.2

 

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