めぐみ先生の保育コラム

パニックになりやすい子への対応のポイント

 

感情の切り替えが苦手だったり、予定外の出来事が苦手な子は、パニックになってしまうことがあります。

中には、同じ言葉や行動を繰り返したり、大きな声で泣き叫んだり、体が固まって動かなくなってしまうというパニックの現れ方もあります。一度パニックが始まると、大人が何かを言っても耳に入らなくなってしまいます。

このような場合、保育者としてどのような対応をしてあげるのがベストなのでしょうか。ポイントをまとめました。

 

1人でクールダウンできる環境を

子どもがパニックになってしまい何を言っても会話にならないような時は、子どもが1人になってクールダウンできる環境を作りましょう。その時に、目や耳を常に子どもに向けるようにし、危険な行動があればすぐに対応できるようにすることが大切です。

 

抱きしめて背中をさする

「落ち着いて」「静かにしましょうね」と声をかけると、余計に激しく泣き出したり慌ててしまう場合があります。そういう時は、会話よりも先に子どものことを優しく抱きしめ、背中をさすりましょう。トントンと一定したリズムで背中を叩いてあげると高揚した気持ちがだんだん収まってきます。

 

落ち着いた後は、子どもの気持ちを受け止める

会話ができるくらい穏やかな気持ちに戻ったら、なぜその子がパニックになってしまったのかを振り返ります。子ども一人ひとりによって、パニックになった理由は様々です。

今日は大好きな紙芝居の時間がなかったから(予想外の出来事)、友達の大きな声にびっくりして(感覚の敏感さ)、親しくない保護者に声をかけられ、どうして良いか分からない(コミュニケーションが苦手)など、パニックになってしまう背景にはそれぞれの苦手な部分や感覚の敏感さが関係しています。

 

まず私たちができることは「○○ちゃんは、大きい音が怖かったんだね。びっくりしたよね」と、パニックになった時の気持ちを理解し、共感することです。そうすることで「自分が感じたことは間違いではないんだ」と肯定感を持つことができます。

逆に「なんでこれくらいの音で泣くの!」と感じ方自体を否定すれば、子どもは自分自身に対して否定感を持ってしまうのです。

 

パニックが終わり、落ち着いた後には「今度怖かったら『怖いから静かにして』って言っていいんだよ」と言葉で伝える方法を教えてあげましょう。自分が嫌だと思うことを口に出して相手に伝えられるようになれば、ストレスも軽減できるはずです。

 

冷静な対応を

 

 

パニックになってしまうと、しばらくはその状態が続きます。すぐにやめることは本人にもコントロールできないのです。パニックが起こっている間は、子どもが怪我をしないように物を避けるなど安全面の配慮を行うようにしましょう。

 

私たちは保育のプロとして冷静に状況を分析し、子どもたちの感受性にあたたかく寄り添うことが求められます。

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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