めぐみ先生の保育コラム

子どもが食事を楽しむために

離乳食を卒業したら次は幼児食のスタート。大人と同じように「食べること」が始まります。子どもたちが食事を楽しむために保育者はどのように関わっていけば良いでしょうか。

 

食事をノルマにしない、頑張らせない

できればお皿に乗った料理はすべて食べてほしいとか、野菜も魚も色々な食材をバランスよく食べてほしいとか、つい大人の思いが先行してしまい「頑張って食べようね」「これだけは食べなくてはいけないよ」などと声を掛けてしまうことがあります。

 

しかし、食事がノルマになってしまうと、子どもたちは食べること自体が苦痛になってしまいます。まずは、残さずバランスよく食べることよりも、友達や保育者と一緒に食卓を囲み「おいしいね」と言いながら楽しく食事ができる雰囲気や環境を作っていきたいものです。色々な食材に興味を持ったり栄養のことを考えながら食べる経験は、食事を楽しいと感じる気持ちが土台となっています。

 

「自分で食べたいけど、うまくできない」気持ちに寄り添う

2歳頃までの子どもたちは、「自分でやりたい」という気持ちがあっても上手くできないことが多く、泣いたり怒ったりすることがあります。スプーンを持ってもうまく料理がすくえなかったり、汁椀をひっくり返してしまったり。「先生がお手伝いしようか?」と優しく声を掛けても「自分で!」と意固地になってしまう子もいますよね。

 

保育者はこの「やりたいけどできない」という複雑な気持ちに寄り添い、子どものペースを尊重して見守ることが大切だと思います。最初からすべて介助するのではなく、子どもたちが自ら食事に手を伸ばし、口に運べるように環境を整えましょう。あらかじめ床にビニールシートなどを敷いておくと掃除も楽になります。

 

とは言え、保育者がじっと見守っているだけではうまく食事ができなかったり次第に飽きてくる子もいるでしょう。タイミングを見計らいながら、食事の量を調整したり興味が持てるような言葉掛けをすることも大切です。そのためには保育者同士のチームワークも必要ですね。

 

先生も美味しく楽しく食べているよ!

 

 

忙しいからと言って事務作業をしながら子どもたちと一緒に食卓を囲むのはおすすめできません。大人は子どものお手本。子どもと同じ目線で食事を楽しみ、食事の場を介してコミュニケーションを深めていけたらいいですね。

 

最初は食が細かった子も、先生が美味しそうに食べる姿を見て「一口だけ味見してみようかな……」と気持ちが変化することもあります。今日食べられなくても明日食べられるかもしれない、半年後には食べられるかもしれない、とおおらかな気持ちで子どもたちが食べる姿を見守っていきましょう。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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