めぐみ先生の保育コラム

なぜ1歳未満児にハチミツを与えてはいけないの?

甘くて美味しいハチミツ。しかし、1歳未満の乳幼児に与えてしまうと「乳児ボツリヌス症」を引き起こす可能性があります。

 

ここでは、1歳未満児にハチミツを与えてはいけない理由について解説していきます。

 

乳児ボツリヌス症とは?

加熱処理を行わないハチミツにはボツリヌス菌が混入している可能性があります。ボツリヌス菌は土壌などに存在している細菌で、大人の体内に入っても通常は何も起こりません。

しかし、腸内環境が未熟である1歳未満児の場合は、ボツリヌス菌が出す毒素によって「乳児ボツリヌス症」を引き起こすおそれがあります。便秘や哺乳力の低下、筋肉の弛緩などの症状があり、最悪の場合は命の危険に繋がります。

 

厚労省の発表によると、乳児ボツリヌス症の国内の発生状況は、保健所が食中毒として報告した事例が3例(1986年以降)、医師が乳児ボツリヌス症として報告した事例は16例(1999年以降)あります。

 

加熱加工した食品も食べてはいけない

ボツリヌス菌の耐熱性は120℃で4分とされており、通常の調理加熱で菌が死ぬことはありません。そのためハチミツを使用したお菓子やパン、料理などにも注意が必要です。

市販されている食品の中でハチミツを使用しているもののほとんどには「1歳未満の乳児には与えないでください」といった注意書きがされています。市販品を1歳未満児に提供する際は、特に食品の表示をよく確かめましょう。

 

1歳以上の子がハチミツを食べても問題ない

厚労省によると、健康な1歳以上の子どもがはちみつを食べても問題ないとのことです。しかし、初めてハチミツを与える際に他の健康面で不安がある場合は、かかりつけの医師や地域の保健師に一度相談をしてみるのも良いでしょう。

 

乳児ボツリヌス症の予防は、1歳未満児にハチミツを与えないことです。大人が共通意識を持ち、赤ちゃんたちの食の安全を守りましょう。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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