プールは夏限定のお楽しみ。着替えを済ませた子どもたちは、キラキラした表情で水へと向かっていきます。でも、少し離れた場所から様子をうかがっている子も。
「水に顔をつけるのが怖い」「水着になるのが恥ずかしい」……そんな理由から、プールが苦手な子もいます。
「なんとか入ってくれたら」という思いを抱きつつも、無理強いはしたくない。
保育者として、どんなかかわりができるのでしょうか。
最初の一歩は、“水に近づく”
ある園では、水が苦手な子には、まずはプールのそばで水の音を聞いたり、見たりするだけの時間を大切にしていました。小さなたらいで足をつけてみる、手でパシャパシャと遊ぶ、好きなカップで水をくんで遊ぶ……。その子が「やってみようかな」と思えるところから始めることが、第一歩です。
「今日は足を入れられたね」「水がかかっても泣かなかったね」と、“できなかったこと”ではなく、“できたこと”に注目して声をかけることで、子どもは少しずつ自信をつけていきます。
焦らず、比べず、その子のペースで
水への抵抗感は子どもによって本当にさまざまです。去年は泣いてばかりだった子が、今年は笑顔で入れるようになった。そんな変化を、目にしてきた方もいるのではないでしょうか。
その子なりのペースで楽しめることを一緒に見つけていく。そんな保育者の姿勢が、安心につながるはずです。
保護者との共有も大切に
苦手意識があることや、それに対してどんな関わり方をしているかを、保護者に伝えることも大切です。「昨日は泣いていたけれど、今日は足を入れられました」と、少しの成長を共有するだけでも、保護者の安心感は大きくなります。
苦手なことに向き合うのは、大人でもエネルギーのいること。ましてやまだ小さな子どもたちにとっては、勇気のいるチャレンジです。
その一歩を、急かさずに支えていきたいですね。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |