めぐみ先生の保育コラム

【年長児】子ども同士のトラブル、どう見守る?

年長児になるとこれまで以上にお友達との関わりが深まり、相手の気持ちを想像したり、トラブルが起こったときに事態を客観的に見る力がついてきます。年少、年中クラスの頃は保育者が間に入って友達同士のトラブルを解決することが多かったと思いますが、年長クラスの子どもたちはトラブルを自分たちだけで解決することができるようになってきます。

言い合いや喧嘩など、子ども同士のトラブルを保育者はどのように見守ったらよいのでしょうか。

 

素直な感情を尊重する

喧嘩の中で、子どもたちは素直な感情を表現することがあります。たとえば、「悲しい」「悔しい」「恥ずかしい」「ずるい」といった感情です。保育者が喧嘩の仲裁役になると、つい「そんなこと言ったら○○ちゃんだって嫌な気持ちになるよ」とか「そんなに泣いて怒らなくても大丈夫だよ」などと言いたくなるかもしれませんが、まずは子ども自身が自分の素直な感情を言葉で表現できたことを評価する姿勢が大切です。

 

その表現が相手の子を傷つける内容であれば、感情には共感した上で、適切な表現の仕方を教えるようにします。感情を表出しているのを遮り、正しい言動を優先的に教えてしまうと子どもは自分の感情を自分の言葉で表出させる機会を持てません。そして、大人の期待に応じて言動を選ぶようになってしまう可能性があります。

 

間に入る場合は司会進行役に

年長児は自分たちだけの力で話し合いを行いトラブルを解決に導くことができるようになってきます。しかし、感情的になって話し合いができないことも。そんなときは保育者が間に入りフォローする必要があります。

 

ここでのポイントは、裁判官にはならないこと。あくまでも司会進行役として間に入り、子どもたちの話し合いがスムーズに進むように援助します。話し合いの中で子どもたちは相手の立場を想像したり、起こったトラブルを客観視しながらどうしたらよいかを一生懸命考えます。時間はかかるかもしれませんがとても大切な経験なので、先回りして結論を出したり、解決を急かしたりせずに見守りましょう。

 

心に寄り添う保育を

お友達との喧嘩やすれ違いは、社会性を伸ばす大切な経験です。トラブルを乗り越えた後は、友達との信頼関係もより深まっていくはずです。

子どもたちは自分と他者の考えの違いを認めた上で、ではどうしていくのがよいか、みんなが納得するのか、着地点を探し出していきます。そしてこれは社会で生きていく上でも大切なことです。

 

年長クラスは学童期に向けて心が大きく育つ時期。自分のことは自分でできる年齢ですが、1人ひとりの心の動きを観察し、寄り添う保育が求められるのではないでしょうか。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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