めぐみ先生の保育コラム

保育士の処遇はどう変化している?働きやすい保育園を考える

これまで保育業界では「給料が安い」「労働時間が長い」「休みが取れない」など処遇に関して様々な課題があり、それに伴い「保育はきつい仕事」というマイナスイメージが世の中に広がっていました。

この問題を打開して保育士の処遇改善を行うべく、保育園の運営する法人は努力を始めています。

まだまだ完全な問題は解決に至っていないのが現状ですが、ここ数年で変化してきたことも多いです。事例を交えてご紹介しましょう。

 

借上社宅制度

保育事業者が借り上げた物件に保育士が住み、家賃を一部補助する制度です。東京都では一戸あたり82,000円の補助基準額を設定しています。保育事業者や自治体ごとに保育士の自己負担額は変わってきますが、「家賃は1万円しかかからないので、貯金ができます」という現役保育士さんの声もあります。家賃が高い東京では嬉しい制度ですね。

 

休暇制度の充実

「有給を取りたくても使えない」「平日は休めない」という声は保育士からよく聞きますが、近年は休暇制度を充実させた法人が増えています。たとえば誕生日や結婚記念日に休める制度、リフレッシュ休暇の導入、伴侶の出産に伴う休暇などです。ライフスタイルに合わせて休み方を選べるのが嬉しいですね。

 

給与の引き上げ

保育士は国家資格であるにも関わらず、給与が低すぎるという意見もあります。自治体ごとに補助金が異なるため、給与の地域差を埋めるのはなかなか難しいようです。しかし、大手企業などでは社内努力を行い保育士の給与を引き上げる努力もしています。大卒の初任給で25万円を超える企業も出てきました。

 

ICT導入による業務負担の軽減

書類の作成や連絡帳など、従来は保育士が手書きで行なってきました。そのため休憩時間にも連絡帳を書いたり、定時以降でないと作業ができなかったり。保育士の業務負担が大きすぎたことは言うまでもありません。

近年は保護者や職員間で情報共有を行えるアプリを導入したり、連絡帳を電子手帳にするなど便利なツールが登場しました。保育計画を作成する補助ツールも開発され、今までよりも短い時間で作業ができるようになってきました。

ICT化は温かみがないというイメージが先行しますが、業務の効率化によって空き時間ができたことで、子どもたちにより丁寧に関わったり研修をしてスキルアップを行ったり、保育の質を高めることに繋がっているようです。

 

処遇も視野に入れて働く保育園を探そう

就職する保育園を選ぶ時には、保育方針や環境面を確認すると同時に、処遇に関する情報もあわせて比較したいところです。

保育の仕事が「子どもたちが可愛いから辛くても頑張れる仕事」から「長期的に働き自己実現できる環境のもとで子どもと関われる仕事」に変わっていくことを願います。

 

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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