めぐみ先生の保育コラム

「1人ひとりに寄り添った保育」とは?

「1人ひとりに寄り添った丁寧な保育をしています」といった方針を掲げている保育園や幼稚園は多いと思います。

子どもの個性は十人十色であり、健やかな育ちを支えるためには「その子」をよく理解して関わっていく必要があります。

今回は、1人ひとりに寄り添った保育とはどういうことなのかを考えていきたいと思います。

 

行動の背景を理解する

子どもがなぜその行動をしたのかについて考えることは、保育の基本と言っても過言ではないと思います。散歩に行きたくないと言って下駄箱の前で座り込んでしまう子、給食のおかずに手を突っ込んで遊び始める子など、背景を理解せずに対峙すると、つい「やめなさい」と言いたくなるような行動もありますよね。

 

そんな時は一歩立ち止まり、“なぜこの子は今この行動をしているのか”を考えてみましょう。お散歩に行きたくないのは、下駄箱の隣で飼育している金魚を見たいからかもしれないし、給食のおかずで遊んでいるのは、昼間の粘土遊びの実験の延長かもしれません。

子どもの行動の裏側にあるものを読み取っていくと、咄嗟に言ってしまいそうになる「やめなさい」が違う言葉に変わっていくのではないでしょうか。

 

興味の芽を発見して伸ばす

保育は子どもの興味からスタートします。たとえば、「トマトの栽培」という1つの

活動の中でも、苗の育ちに興味がある子、土を触る感触が好きな子、他の野菜のことも知りたがり図鑑を開く子など、興味の方向性は様々です。

 

保育者はその子がどんなことに興味を持ち何を知りたがっているのかを探り、その子に合った次のアプローチを考えていく必要があります。そのことがさらに次の興味に繋がり、子どもたちは遊びながら成長することができます。興味の芽を伸ばす手伝いをすることも保育者の重要な仕事の1つです。

 

主体性を尊重する

 

 

子どもたちの遊びがうまくいくように、つい先回りしたり手を差し伸べたくなる場面もあると思います。しかし、保育者が寄り添いすぎてしまったために子どもの主体的な学びの邪魔をしてしまう結果になることも。

 

子どもが目の前のものに夢中になっている時はあえて声を掛けないことも大切です。遊びに没頭できるように少しだけ距離を置き、安全に配慮しながら見守りましょう。

 

また、「やってみたい」という気持ちを大切に受け止め、同じ目線になって保育者も遊びに参加することが必要な場面もあります。子どもが自ら挑戦したり発見したり、好きなことに手を伸ばしていけるように臨機応変な援助をしていきたいですね。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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