「保育所で働きたいけど資格が取れる学校に通う余裕や時間もないし、国家試験で保育士資格を取るのもかなり難しそう……」「小学校教諭の免許を取れる学校に行ったけど、保育士をとれる学校にしておけばよかった……」
そんな悩みや後悔を抱えている方に嬉しいお知らせがあります!
現在、保育士不足の緩和策として、保育士資格をお持ちでない方でも認可保育所等での活躍の場が広がっています。
中でも『幼稚園教諭』『小学校免許』『養護教諭』をお持ちの場合は、保育士と同条件で雇用される保育園も出てきています。
今回はそんな『保育所等における保育士配置に係る特例』について説明していきます。
そもそも『保育所等における保育士配置に係る特例』ってどんな制度?
2016年4月より実施されている『保育所等における保育士配置に係る特例』は3つのパターンがあります。
【① 朝夕など児童が少数となる時間帯における保育士配置に係る特例】
早朝や夕方の時間帯など、預かる子どもの人数が少ない場合であっても保育士を最低でも2人は配置しなければならないと決められていますが、今回の特例制度では、その保育士2名のうち1名は子育て支援員研修を修了した者等(保育所で保育業務に従事した期間が十分にある方や家庭的保育者を含む)に代替可能となっています。
【②幼稚園教諭及び小学校教諭等の活用に係る特例】
業務内容や対象年齢などが保育士と近いとされる幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭の資格をお持ちの方々を保育士の代わりとする事が可能となっております。
幼稚園教諭は3歳以上、小学校教諭は5歳児を中心に保育することが望ましいとされており、養護教諭については対象とする年齢は不問となります。
なお、この特例の適用にあたっては、全体で1/3を超えない(保育士を2/3以上配置する)ことが必須条件とされています。
【③保育所等における保育の実施に当たり必要となる保育士配置に係る特例】
保育所等を8時間を超えて開所していることなどにより、認可の際に最低基準上必要となる保育士数(例えば10名)を上回って必要となる保育士数(例えば10名に追加する3名)について、子育て支援員研修を修了した者等(保育所で保育業務に従事した期間が十分にある方や家庭的保育者を含む)に代替可能となっております。
こちらの特例の適用にあたっても、②と同じく全体で1/3を超えない(保育士を2/3以上配置する)ことが必須条件とされています。
実施の有無は『自治体』と『事業者』の判断に委ねられている
この特例は不足している保育士を補うための制度となっており、実施については『自治体』の判断に委ねられています。
保育士は専門職であり、本来であれば全員を保育士の有資格者で集めることが好ましいとされている為、保育士の採用に困っていない地方ではこの特例制度は適用されていないケースがほとんどのようです。
反対に都市部では保育士不足が深刻の為、実施に踏み切っている自治体が多くあります。 ただ、特例を実施している自治体であっても保育園を運営する事業者が制度を取り入れていないこともあります。
この理由としては、保育の質の低下に対する懸念や、従前の基準を緩和することは適切ではないといった園独自の判断、特例制度が終了してしまった際に資格をお持ちでない方の雇用を守ることが困難である可能性への危惧などが挙げられます。
最終的には『保育士資格』の取得を目指すべき
これから保育業界で頑張っていきたい方にとっては本当に素晴らしい『保育所等における保育士配置に係る特例』ですが、絶対に忘れてはいけない大きな注意点があります。
それは、あくまでもこの特例が【待機児童を解消し、受け皿拡大が一段落するまでの緊急的・時限的】な措置であるという事です。
言い換えれば、進む少子化により保育園に対してのニーズが減少して待機児童がいなくなり、保育士が余るような時代が来ればほぼ確実にこの特例制度は廃止されます。
そうなった時にも引き続き保育業界で活躍していく為に、保育所等での勤務と並行して通信制や夜間の保育士養成校への通学や、国家試験の合格によって、出来る限り早い段階での保育士資格の取得を目指していくことが大事となります。