めぐみ先生の保育コラム

園庭がない保育園で保育をするときのポイント

都市部の駅の近くや商業施設が多いエリアでは、園庭がない認可保育園や小規模保育施設があります。

今回は、園庭がない保育園で保育を行う時のポイントについてお話します。

 

園庭の設置基準

児童福祉法に基づいて設置される認可保育所は、国が定める設置基準があります。それによると、認可保育園の園庭(屋外遊技場)は「2歳児以上1人あたり3.3m2以上(保育所外の公園等を含む)」が必要であると明示されています。(参考 厚生労働省

また、子ども・子育て支援新制度によって始まった小規模認可施設においても同様です。

 

2歳以上の子どもがいる園では原則として園庭の設置が義務付けられていますが、2001年の規制緩和によって近隣の公園が園庭の代わりとして認められるようになりました。そのため、園庭がない保育施設では公園を活用して戸外遊びをしています。

 

なお、認定こども園の園庭に関しては下記の通り定められています。

 

〈園庭(屋外遊戯場、運動場)の設置〉※名称は「園庭」とする。

・園庭は同一敷地内又は隣接地に必置とし、面積は、①と②の合計面積

①満2歳の子どもについて保育所基準(3.3㎡/人)

②満3歳以上の子どもに係る幼稚園基準(3学級400㎡、1学級につき80㎡増)と保育所基準のいずれか

大きい方

※代替地は面積算入せず。一定条件を満たす屋上は例外的に算入可とする。

(参考 文部科学省

 

注意点と工夫のポイント

地域の環境を有効活用する

近隣の公園をはじめ、踏切の近くまで行って電車を眺めたり、近所の商店街を歩いたり、桜並木や銀杏並木を歩いて季節を感じたりするお散歩もおすすめです。地域の環境を有効活用しましょう。

 

公園等は保育園の管理下ではないからこそ、事前の安全確認を十分に行う必要があります。子どもたちが無理なく歩ける場所にあるか、トイレはあるか、日当たりは良いか、遊具や芝の整備はされているか、タバコやゴミが落ちていないかなど、下見を行いましょう。

 

また、目的地までのルートはなるべく交通量の少ない道を選ぶと同時に、信号や横断歩道では交通マナーを子どもたちに教ましょう。

 

救急セットや水分補給のための飲み物とコップ、着替え、携帯電話などを持っていくのもお忘れなく。

 

室内の遊びの内容や環境構成を工夫する

園庭のない保育園では“梅雨の時期にちょっとだけ晴れ間を見て外遊びをする”とか“夕方のお迎えまでの時間、ちょっとだけ外で鬼ごっこをする”といった遊び方が難しいという課題があります。そのため、子どもたちは思い切り走り回りたい欲求を持て余し落ち着きがなくなったり、トラブルが起こりやすくなったりします。

 

室内でも子どもたちが体を動かしてのびのびと遊ぶことができるように環境構成を工夫をすることが大切です。幼児クラスであれば、リトミックや体操の時間を少し多めに取り入れたり、部屋の間仕切りを取り払って空間を広く使える時間を設けるなど、子どもたちが戸外と同様に体を動かして遊べるような環境を考えていきましょう。

園内の環境をよりよい形にしていくために、他のクラスの担任や主任、園長とも連携を取り意見交換を行うのもおすすめです。

 

また、公園まで足を伸ばすことが難しい年齢や時間帯であれば、施設の周りをぐるりと歩くだけでも気分転換になります。少しだけベランダに出て外の空気を感じたり日向ぼっこをする時間を意識して作りましょう。

 

 園庭がないことはデメリットばかりではない

園庭がないことはマイナスポイントとして捉えがちですが、実はメリットもあります。園の敷地を出て色々な場所に散歩へ行くことにより、子どもたちは体力がつき、交通ルールを知ることができます。また、地域社会との関わりも深まります。

 

「あそこの公園がおすすめですよ」と保護者から情報をいただいたり、「園でお散歩に行った公園に家族で出掛けてみたんです」と教えていただくことも。保護者とのコミュニケーションのきっかけにもなります。

 

園庭がないという特性について前向きに捉え、子どもたちにとってよりよい保育の在り方を考えていきませんか。

(記事公開日 2017年01月12日)
(記事更新日 2024年05月30日)

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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