めぐみ先生の保育コラム

ドキュメンテーションを作成しよう(前編)

保育における「ドキュメンテーション」とは、日々の保育のエピソードと保育者の気づきをまとめた記録のこと。日誌とは異なり、写真付きで記録を残していくのが特徴です。

 

前編では、ドキュメンテーションとは何か、なぜドキュメンテーションが必要なのかを解説します。

 

ドキュメンテーションはなんのために作るの?

日誌や連絡帳に子どもたちの成長を記録しているのだから、ドキュメンテーションを作る必要はないのでは?と思う方もいるかもしれませんね。

 

ドキュメンテーションは単なる記録や報告書類ではなく、起こった事実に加え、保育者が読み取った内容(気づき)を写真付きで記録していくものです。プロの視点で見た子どもたちの思いや目に見えない成長、その子の魅力などを文章化し、さらにその瞬間を写真で説明することでより伝わりやすくします。

 

ドキュメンテーションの読み手は同僚、保護者、子ども、そして書き手自身です。

保育者の気づきが読み手に伝わり、「この子はこんな風に工夫して遊ぶことができるんだ」「新しくこんなことに興味を持ったんだ」といったように、今度は読み手の気づきに繋がっていくのです。

 

同僚に気づきが広まることで園の保育の質が高まり、次の保育のヒントになります。保護者がドキュメンテーションを読めば子どもの成長を嬉しく思うでしょう。家庭と園で地続きの働きかけを行うきっかけにもなります。

そして子どもたち自身がドキュメンテーションを読むことで、自分の成長を記録してもらった喜びを感じると同時に、自分の発見や体験が素晴らしいことだと気づきます。お友達に関するドキュメンテーションを目にすれば、「自分もやりたい」という意欲に繋がるかもしれません。

そして何よりも、ドキュメンテーションは書き手の保育者にとっても価値のあるものです。自分の保育を振り返り、客観視するために写真付きの記録は役立ちます。

 

ドキュメンテーションを通してコミュニケーションが生まれる

これまでは監査のために記録を書いていたし、忙しい中でひたすら記録を残すことに必死だったという方は少なくないと思います。

 

ドキュメンテーションは保育に関わる人たちの間に新たなコミュニケーションを生み出すものです。「読み手が思わずクスッとしてしまったり、感動で目頭が熱くなるようなドキュメンテーションを作成した時、保育者になって良かったと感じた」と語る先生もいました。

 

後編ではさらに踏み込んで、ドキュメンテーションを作成する時のポイントについて解説します。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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