めぐみ先生の保育コラム

クラス担任と加配担当の連携のポイント

保育現場では、配慮が必要な子に対して加配担当者がつくことがあります。加配担当者がつくことにより人手が増え、手厚い保育がしやすくなります。

 

ここでは、クラス担任と加配担当者の連携のポイントについて解説します。

 

クラス担任と加配担当者、連携の難しさ

クラスに保育者が1名加わることで、子どもたちに対して丁寧な関わりを実現でき、クラス運営もスムーズになります。しかし、課題や難しさがあるのも事実。現場の先生たちからは以下のような声が……

 

「加配の先生はパート職員で短時間勤務。担当の子を毎日ずっと見ているわけではないので、情報共有の難しさを感じる」

 

「加配担当なのでクラスの雑務をどこまで任せてよいのか悩んでしまう。給食の準備や掃除もしてもらえたら助かるのですが……」

 

「非常勤の加配として働いています。私は保育歴20年、クラス担任は2年目の若手で保育の考え方にギャップがあり気になるところも。保育に対して口出しをしていいのか悩んでいます」

 

まず多くの場合、加配担当者は非常勤職員です。配慮が必要な子に対しては、保育者同士のより丁寧な情報共有が不可欠ですが、勤務日数・時間の都合によりコミュニケーション不足に陥ってしまうことがあります。

そして、加配担当者がクラスの業務をどこまでやるのかについての線引きも悩ましいところ。さらに、双方の保育観にギャップがあるとなれば、これらの課題がより深刻な悩みの種になってしまうでしょう。

 

上手に連携するためにはどうしたらいい?

個別支援の計画を一緒に作成・共有する

担任と加配担当者が同じ目線で援助をするために、個別支援の計画を一緒に作成します。ベースとなる計画を担任が作成し、それに対して加配担当者が加筆修正するといった方法です。

作成した計画を園全体で共有し、どの時間帯、どの場面にいる職員も援助のポイントを把握しておくことも大切です。また、その子に対する援助だけでなく、保護者対応にも齟齬がないようにします。

 

園長や主任の第三者視点の意見を取り入れる

担任と加配担当者の間に保育の考え方の溝があれば、なるべく埋めたほうがよいでしょう。役割分担や援助の方法など、迷いが生じたときには園長や主任、看護師など第三者の意見を取り入れるのもおすすめです。

一歩引いたところで俯瞰して状況を見てくれる人がいると、自分たちだけでは思いつかなかった良いアイデアが生まれることもあります。

 

役割分担をはっきりと決める

「加配担当がやるべき業務はどこまで?」「加配の先生にどこまで雑務を頼んでいいの?」というモヤモヤを解消するために、お互いの役割分担を明確にしましょう。

「給食の前は加配担当がタオルや配膳の準備をする」「帰りのお集まりのときは加配担当が担当児の横につき、他の子の様子も見守る」「散歩に行く際は怪我のおそれがあるので、担当児のそばを離れない。担任が全体の様子を把握する」といったように、ルールを具体的に決めて言語化します。

 

この役割分担を担任と加配担当の二者間だけで共有するのではなく、園全体で共有することもポイントです。担任と加配の組み合わせが変わった場合も、役割分担のルールが明示されていることで誰もが安心して保育に臨めるでしょう。

 

お互いの立場を尊重して保育をしよう

クラス担任と加配担当者、役割や専門性は異なりますが子どもたちにとってはどちらも大好きな先生のはず。「担任だから」「加配担当だから」という線引きをしすぎず、お互いの立場を尊重して意見を聞き合い、日々の保育へ活かしていくことが大切かと思います。

 

悩んだときには「子どもたちのために一番よい方法はなんだろう?」という原点に立ち返ると、最適解が見えてくるかもしれません。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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