めぐみ先生の保育コラム

【実践例】ちょっと変わった食育活動

園で実際に行った、型枠にはまらない、ちょっと変わった食育活動をご紹介します。

ぜひ食育活動の計画にお役立てください。

 

魚市場に出かけてみた

Aこども園では、4・5歳児クラスの食育活動で、地域の中の魚市場に出かけました。セリを見学する予定でしたが、早朝の集合は難しいため、セリが落ち着いた午前9時頃から見学をスタート。「大きなお魚はどうやって運ぶんですか」「売れ残ったら誰が食べるの?」など、子どもたちは思い思いの質問を業者さんに投げかけていました。魚市場特有のにおいや音、人の動きなど、子どもたちはちょっとびっくりしながらも刺激を受けていたようです。また、並んだ魚を見て、命をいただくことを考える時間にもなりました。

 

非常食を食べてみた

B保育園では、防災教育と食育を兼ねて非常食の試食体験を行いました。普段はなかなか口にすることがない非常食ですが「地震があったらこれを食べるんだ」というイメージが具体的になり、家庭に帰ってからおうちの人に非常食のストックがあるかを確認した子もいました。

災害が起こったときは不安が大きくなるため、普段は食べ慣れていない非常食を嫌がる子もいます。「前に食べたことがある味」であれば、非常時にも少し安心できるかもしれません。

 

多世代交流クッキング

C保育園では、世代を超えた繋がりが生まれる「多世代交流クッキング」を試みました。地域のシルバー人材センターの方や子どもたちの祖父母にも協力していただき、郷土料理を一緒に作りました。おじいちゃん、おばあちゃんから「この野菜はね、皮ごと使えるんだよ」と教えてもらったり、すり鉢でごまをすってみたり、子どもたちにとっても新しい発見がたくさんある時間でした。クッキングの後は、完成した料理を一緒に食べながら、おしゃべりを楽しみました。

 

「なんで?」が広がる食育体験を

保育現場での食育活動は「食べもののことを知る」だけにとどまらず、「食べることから世界を知る」ことにもつながります。食を通じて人や命、自然、社会、文化などたくさんのことに気づき、それが子どもたちの生きる力の土台にもなります。

「おいしい」だけで終わらず「なんで?」「どうなってるの?」がしぜんと広がる食育体験を考えていきましょう。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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