保育現場で働いていると、資格取得を目指している方たちを実習生として受け入れる機会に立ち会います。自分が担任保育士であれば、保育士のお手本となり実習生を指導しなくてはいけません。
前回は、保育実習のポイントをお伝えしましたが、今回は現場で働く保育士たちが、どのように実習生を受け入れ、何を伝えていくべきかについてまとめました。
⒈園の方針や大切にしていることは、最初に伝える
「子どもたちが自分で考えることを大切にしているから、保育士は必要以上に声掛けをしない」「家庭的な雰囲気がうちの持ち味。『先生』とは呼ばせていない」など、保育園ごとにカラーがあります。
多くの保育現場を知らない実習生にとって、園の理念やカラーを汲み取り理解することは容易ではありません。実習が始まる前に、園の方針を説明して知ってもらうことにより、実習生がスムーズに現場に入っていくことができるのです。
⒉雑務を丁寧に教える
保育室の掃除や工作の準備など、実習生には雑務を任せることも多いと思います。プロの保育士になると、こういった細かい仕事のコツを教わる機会はなかなかありません。
単純にやり方を伝授するだけでなく、どうしてこの仕事をするのか、どのようなところが子どもたちのためになるのかを一つ一つ伝えていきましょう。
⒊書類の赤入れは分かりやすく・簡潔に
実習録の作成は自習生の大きな課題でもあります。担任の保育士からたくさん赤入れをされ、うんざりした……という経験を過去にした人は少なくないと思います。
子どもの姿を予測して計画を立て、実際の姿をもとに反省をして次回に活かすというPDCAは保育士の大切な仕事です。その大切さを自習生にも分かってもらいたいですね。
長々と赤入れをしてしまうと、要点が伝わりにくくなります。重要なことは簡潔に書き、ダメ出しをするだけでなく良いところも指摘してあげることで実習生のモチベーションアップに繋がります。
⒋実習生の持ち味を引き出す働きかけ
保育士にはそれぞれ個性があります。実習生も同じように、一人ひとりに持ち味があり、得意なこと・苦手なことは違います。声が小さい人でも、ピアノが得意かもしれません。製作物を作るのに時間がかかってしまう人でも、子どもたちを惹きつける素晴らしい作品を完成させられるかもしれません。
実習生を指導するのは、子どもたちを保育するのと似ているところがあります。緊張している実習生は失敗することも多いはず。だからこそ、良いところ・素敵なところを見つけて「○○さん、こんなことが得意なんだね!子どもたちも喜んでいたよ」と言葉で伝えてあげましょう。
⒌実習生から学ぶ姿勢を忘れない
実習生がやってくると「教えてあげよう」という思いに捉われてしまいがちです。しかし、実習生から学べることがたくさんあるのです。
たとえば、新しい手遊びや流行りの絵本を教えてもらえることもあります。また、プロの保育士ではないからこそ、ありのままの視点で子どもたちを観察し、私たちが気づかなかったことを発見してくれる存在でもあります。
短期間ではあるけれど、同じ保育現場に入った仲間として、実習生と意見交換をしてみるのも面白いですよ。
実習生が来ると、自分の学生時代を思い出します。まだまだ右も左も分からない時でしたが、保育実習の経験は今でも宝物です。自分が指導を担当することになった実習生が、10年後まで実習録を大切にしてくれるような、そんな働きかけを目指したいものです。
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佐藤愛美(さとうめぐみ) 保育士として保育園、子育て支援センターでの勤務経験を経てフリーライターに。現在、子育て関係の記事を中心に執筆している。パパ、ママ、保育士さんに向けて必要な情報を発信していけるように頑張ります! |
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